有機栽培のりんご…販売できるの? 被害を受けないのは5%ない…

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表(42)「収穫している中で虫にも病気にもやられないのは全部収穫した中の5%ないと思います。なので全てをジュースとシードル(りんごの酒)に加工して販売しています」

「リンゴリらっぱ」のある新庄市昭和地区は、昭和の時代に入植者が苦労の末、荒れ地を開墾して田や畑に切り開いた土地です。

りんごの栽培は佐藤さんの母方の祖父・荒井誠さんが一から始め、「リンゴリらっぱ」の作業場には「荒井りんごや」の看板が残っています。

6年前、祖父のりんご園を継ぐことになった佐藤さんが考えたのは有機栽培でした。

佐藤さんはもともと自宅のある真室川町で、家に代々伝わる伝承野菜の里芋「甚五右ヱ門芋」を農薬を使わず栽培してきました。

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表「(りんごも)里芋と同じでなるべく(農薬を)使いたくないという、そもそも農薬の使い方を僕は知らないし、使わないことが当たり前という形でやって来たので」

県の担当者も「りんごの有機栽培はかなり難しく、県内で聞いたことがない」と言うほどで、軌道に乗るには大変な苦労がありました。

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表「有機にしていこうと言った3年目に収量が15トン採れるところが600キロしか採れなくて、もうこれはりんご園やっていけないなというダメージだったんですけど、その時に有機でりんごを作っている(他県の)先輩の所に教えてもらいに行ってその翌年からまたちゃんと採れるようになって」

苦難を乗り越え、「リンゴリらっぱ」は去年、「有機JAS認証」を取得しました。

取得には3年前から化学農薬、化学肥料を使っていないことや今後も化学的に合成された農薬、肥料を使わないことなどが条件です。

こうしてできた果汁100%ジュースには可愛らしいイラストのラベルが貼られ出荷されます。完熟前に収穫することで、味は甘いだけではありません。

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表「その一番とがっているのが、にがむしブレンドで、すごい苦味、グレープフルーツのような苦味があって。りんごの味わいにもいろいろあるっていうのが楽しい、いろんな面白い世界が広がっているんだなあと」

価格は180ミリリットル、税込み637円からと高めですが、SDGsの意識の高い首都圏の飲食店を中心に販売は好調です。

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表「(飲食業者らから)そういう農業をやっているならぜひ使わせてくださいと連絡いただいたり、わざわざ足を運んで農園まで来ていただいたりして」

佐藤さんにはさらに夢があります。作業場の隣では改築工事が始まっていました。

リンゴリらっぱ・佐藤春樹代表「最後の目標としては自分たちが生産した有機のりんごでシードル(りんごの酒)を自分で醸造するというのを目標にしてきたが、ちょうどこの冬に醸造所が完成する予定で、来年から仕込みたいなと思っていて」

佐藤さんの安全なりんごづくり、りんごの可能性を求める挑戦は続きます。