山形の優れた技術や技法、職人を紹介する「令和の匠」のコーナーです。

今回は「幻の着物」とも称される白鷹紬を取り上げます。
緻密で繊細な紋様を生み出す、板を使った大胆な染め技に迫ります。
白鷹紬(しらたかつむぎ)
白鷹紬(しらたかつむぎ)

素朴で、柔らかな風合いの着物。美しく繊細な、白と黒のコントラスト。
1本の糸を2色に染めわけた「絣糸(かすりいと)」が生み出す、白鷹紬(しらたかつむぎ)です。
小松織物工房6代目 小松寛幸さん

小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「全国を見ても白鷹町にしかなくなった技術」

いにしえを今に伝える、染めの技術です。


140年間変わらぬ“手作業”が伝える技術

山形県白鷹町 小松織物工房
創業およそ140年、山形県白鷹町の小松織物工房です。
矢野アナウンサー
「緊張感がありますね」

作業場にみなぎる、緊張感。
染めから織りまで、すべて手作業で行われています。
白鷹紬の、繊細で独特の紋様を生み出す秘密、それは。

小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「板に直接挟んで染料を流し込むという技法。板自体が白鷹町にしか残っていない技術」
絣板(かすりいた)
秘密は、この「絣板(かすりいた)」にありました。
数ミリの溝が何本も掘られていて、一枚一枚、表情が違います。

矢野アナウンサー
「横から見ると確かに、模様に見えますね」
板締(いたじめ)染色
溝が対になった板を上下に重ね、染料を流し込みます。
すると、溝がある部分には色がつき、溝がない部分は染まりません。
これが、白鷹町だけに残る、絣板を使った「板締(いたじめ)染色」です。
板を重ね終えたら、溝の位置がずれないよう仮締めをします。
固定する道具も昔のまま。重さはなんと80キロ。


小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「(板の)溝がずれていないか確認します」
矢野アナウンサー
「私が見た限りではほぼずれがないんですが…」
小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「ここのずれを直します」

ここです。どこを調整しているか、分かりますか。

矢野アナウンサー
「1ミリとか2ミリとかの単位(の調整)?」
小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「0コンマ2か3くらい(の単位での調整)」
「ちょっとでもずれていると、(溝が)重なった部分から染料が浸透してしまうので」

本締めが終わると、いよいよ染色がはじまります。 

矢野アナウンサー
「白い糸が真っ黒に染まり始めています」

約90度に温めた染料を、板にかけていきます。

矢野アナウンサー
「大胆にかけるんですね」
小松寛幸さん 
「ぶっかけ染めと言う。およそ1時間くらい(かけ続ける)」
矢野アナウンサー
「え!1時間も?」
小松寛幸さん 
「回数として700回から800回かける。先人たちがやってきた中では最先端の技術だった」


板締染色は絣技術の究極系

「絣糸(かすりいと)」を使う技術は、江戸時代にシルクロードを経て沖縄に伝わり、進化しながら北上してきました。

ここ白鷹が、絣(かすり)織物の産地の最北端であることから、板締染色は絣技術の究極系と表現する専門家も。
白鷹にしか残っていない技術。その希少性から、白鷹紬に関わる技全てが県の無形文化財に指定されています。


小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「希少な技術で染められるのはやりがいがある」

ぶっかけ染めを1時間ほど続けた後、板を外すと…

矢野アナウンサー
「綺麗に染まっていますね、お見事です。
一枚一枚、溝をきっちりと合わせたのが、染まりあがった時にその美しさとして現れる」
小松寛幸さん 
「白い所は白く、黒い所は黒く、はっきりしているのが絣の特徴」


1日たった1メートル 糸から反物そして「幻の着物」へ

寛幸さんが染めた糸を反物に仕上げるのは10人の職人。
中には、こんな人も。

手ぬぐい染めなどの仕事をしてきた髙木さん。
白鷹紬に魅了され、3年前に栃木から山形にやってきました。
髙木翠さん

髙木翠さん
「細かい柄を合わせていくことにすごく集中力と体力を使うんだと毎日織っていて感じる」

熟練の技を持つ織り手でも、1日で織れる長さは1メートルほど。
1年間で60着分ほどしか生産できないことも「幻の着物」と言われる所以です。

伝統に新たな息吹を 6代目が見つめる先にあるもの


小松織物工房6代目 小松寛幸さん 
「今ある部分にプラスした上で、繋げていきたいという思いがある」
作品名「星彩」

白鷹紬の代名詞「板締染色」に、別のかすり染めの技を融合させた作品は、
去年開催された全国規模の工芸品展で入選を果たしました。
小松織物工房6代目 小松寛幸さん

小松織物工房6代目 小松寛幸さん
「この技術が日本ではこの地域にしかないので、
日本だけでなく世界にも発信できれば、今後の展開が見えてくるのかな」

伝統に、新たな息吹を。進化を続ける白鷹紬の今後が楽しみです。

※映像はYouTubeのテレビユー山形公式アカウントにて公開しています。
https://youtu.be/GIdLBufk9uk