■酒田市の重大事故が示す”線引き”の難しさ

具体的な事例は、現行法の曖昧さと、その運用上の困難さを浮き彫りにしました。

今年8月、山形県酒田市で横断歩道を渡っていた中学3年の女子生徒をはねた男(62)のケースでは、警察は当初、「危険運転傷害」容疑で送検したにもかかわらず、検察は最終的に「過失運転傷害」罪で起訴し、危険運転の適用を見送りました。

※画像は事故現場

この事故は道路を横断しようとしていた女子生徒を横断させるために前の車が停車したにもかかわらず、その横を無理に男の車が走り抜けた時に発生。女子生徒は10メートル以上も跳ね飛ばされたといいます。十分危険な運転であると思える事故でしたが・・・。

検察の判断は、飲酒やスピード超過がない「自分本位な運転」が原因で事故を引き起こしたとしても、現行の「危険運転致死傷罪」の構成要件を満たすかどうかの判断が非常に難しいことを示しています。