庄内と決めて撮ることで生まれた“連なり”“移動感”
Q山形だからこそ、撮れたんだなと思ったシーンは?
コロナ禍、昨年の5月6月の撮影ですから、最初に作ったシナリオにあった列車で主人公が移動したりバスに乗って主人公が移動する、自分が探し求める人を目指して交通機関を使って移動するんですけども。
やはりそういった公共の乗り物に我々撮影隊が乗り込んで俳優がマスクをしないでそこで演じることはやはりはばかられたわけですね。
ですのでそういうシーンは一切撮影しない。カットしました。駅で電車を待っているというのが精一杯ですね。
しかし、丹念にこの庄内地方でいわゆる俳優が写ってない、我々で言うと実景、皆さんの五感でいうと風景でしょうか?山にかかる雲が風に乗って流れるだけで、あるいは飛んでいるトンビをカメラが追うだけで主人公の移動感が出るんですね。
ご覧なった方、ご覧になる方はぜひそこに注目していただきたいんですけれども。
やはり点描(てんびょう)のようにいろんな場所を切り刻んで編集で繋ぐのではなくて、庄内と決めて撮ることがその連なりと移動感を産んだんだと思うんですよね。