■「パトカーごと流されている」ノイズ混じりの45秒間の通話
パトカーが流され始めてから5分後の午後11時43分。
玉谷警部補から110番通報が入った。
「パトカーごと流されている」
周りの音が大きく、聞き取れたのはこの言葉だけ。

45秒ほどの通話時間は、通報を受けた通信指令課の担当者の呼びかけのほうが多いほどだったという。
■仲間たちを阻んだ自然
このころ、現場付近には多数の警察車両が向かっていた。
しかし、そこに自然が立ちふさがった。
110番通報から4分後の午後11時43分頃、仲間のパトカーの1台が現場付近に迫るも、土砂崩れで道がふさがれ先に進めないことが判明する。2人の乗るパトカーまで1キロ弱の距離だった。
その9分後にはライフジャケットを積んだ機動隊の車両が現場付近につくが、こちらも土砂崩れで道がふさがれ到達できなかった。
さらに日付が変わった26日午前0時頃、この現場に向かっていた別のパトカーが土砂崩れに巻き込まれる事態も発生した。
2人のパトカーまでたった数百メートルの距離が、縮まらない。