あすから東京ではじまるチアリーディングの全国大会に、県内から初出場するチアリーディングのクラブチームがあります。

創部18年目で初めて掴んだ全国への切符。最高の舞台に臨む選手たちの強さの理由について取材しました。

藤井響樹アナウンサー「見ているこちらが明るくなりそうな元気な声、笑顔でアクロバティックな技に取り組んでいるこちらのチーム。このチーム、なんと全員が中学生なんです」

チアリーディングチーム「GLOOVERS」は、山形市にあるクラブチームで、3歳から中学生まで38人が所属しています。



今回、中学生チームの14人が東北大会で優勝し、初めて全国大会への切符をつかみました。

実は、東北大会に出場した各県のチームは、すべて高校生がメンバーでした。

唯一の中学生チームとして出場した「GLOOVERS」は、この中で最高の評価を得て優勝を果たしました。

この結果についてチームをまとめるキャプテンは。

GLOOVERS 山口夏歩 キャプテン「去年からずっと目指して練習していたので、すごく嬉しかった」



チアリーディングという競技は、1チームが8人以上16人以下で作られ、2分30秒の競技時間の中で、披露した演技の難易度や完成度を競います。



「ジャンプ」や「ダンス」のほか、腕を決まった形に動かす「アームモーション」。

側転やロンダート、バック転などの「タンブリング」。

そして、人を持ち上げたり、投げ飛ばしたりする「スタンツ」。

この5つの要素に加え「笑顔」や「元気」も採点にかかわります。



「いかに観客を魅了し引きつけることができるか」を競う、表現スポーツのチアリーディングは「究極の団体競技」と言われていて、チーム全体の連携や信頼関係が大切とされています。

GLOOVERSは、今回、チームとしてだけではなく、県勢としても初めての全国大会に出場することになります。



高校生チームよりも高い評価を受けた、チームの強さの理由とは?

GLOOVERS 山口夏歩 キャプテン「ずっと長くみんな一緒にやっているチームで、絆もすごくあるし、仲間割れとかは全然なくて、もう全員が仲いいチームだから」

この仲の良さ。同じチームでチアリーディングをしてきた時間の長さが彼女たちの大きな強みです。



そしてもう一つ。創部から18年間指導し続けてきた、石川静香コーチが大切にしているあるツールです。

GLOOVERS 安部千夏さん「これはチアノートです。その日の反省を書いてそれをノートで出すものです」



石川静香コーチ「こうやったらうまくなったとか、うまくいく為のコツが書いてあったりとか、コーチに言いたいこととか、みんなの前ではちょっと言えないけどコーチに伝えたいこと、後はコーチが伝えたいことが書いてある」

練習中は勿論、この部活ノートやSNSを通じて、常にメンバー同士やコーチでコミュニケーションを取りあっています。

良い所・足りない所を言い合える関係性は互いの信頼につながり、「究極の団体競技」と言われるチアリーディングの演技に表れていました。

信頼から生まれるこの笑顔も強みの一つです。

GLOOVERS 石川静香 コーチ「今は全部で4チームあるが、最初は1チームしかなくて小学生しかやってなくて、人数も揃わないとチアリーディングはできないので、本当に簡単な技しかできない時期もあったが、そこから少しずつ人が集まって、長く続けてくれる人が出てきて、それが核になって花開いた。やっと、やっとここまで来たという感じ」



当初、小学生のみが参加していたGLOOVERSは、ずっと続けてきた仲間ともっと頑張りたいといった声から中学生も続けるようになり、中学生だけのチームができるようになりました。

そして、今は、卒業生もチームを支えています。

中学生チーム1期生で、高校3年生の山口美結さんです。



今回の優勝は、チームを支える山口さんにとっても特別なものでした。

山口美結さん「私たちの時はちょっと新型コロナと被ったので、大会も声を出さずにという事が多くて、(東北大会)準優勝までしか行けなかったので、優勝してくれたのはOGとしても誇りに思うし、私たちが惜しいところまで行ったのを、目標としていた優勝まで導いてくれたので逆に尊敬している」

今までのGLOOVERSを作ってきた先輩達も初の全国大会での演技を心待ちにしています。

大会まで残り1週間となったこの日。



練習は、本番を意識したものとなっていました。

しかし、人を持ち上げたり、投げ飛ばしたりする技「スタンツ」のうち、演技の最後の大技が決まりません。

「惜しい。これがやりたいことじゃないよね」

時間がたち、いつの間にか外は暗くなっていました。

メンバーは”笑顔”を絶やさず、チアリーディングに向き合い続けます。



「成功」

GLOOVERS 山口夏歩 キャプテン「自分たちの強みは笑顔で、仲も良いし笑顔が絶えないチーム。(全国大会は)レベルの高いチームがとても多いが、その中でも自分たちの演技をしっかりして、ノーミスを目指して悔いのない演技にしたい」



GLOOVERS 石川静香コーチ「今まで頑張ってきたので、その成果をしっかり出せるように、そんな演技をしてきたい。楽しみ。私はこの子たちを見せたい、全国に」



石川コーチや先輩たちと共に、悲願のジャパンカップ出場を掴み取ったチアリーディングチーム「GLOOVERS」。

明日から迎える初めての全国大会で、2分30秒の「笑顔の真剣勝負」に臨みます。