暑くなると増える水の事故。そこから、命を守る手段があります。世界で、こう表記されるキーワード「UITEMATE」。水に落ちたら、「浮いて待て」です。


■水難事故のほとんどが「不慮の事故」

警察庁のまとめによると、2021年の1年間に水難事故で亡くなった人の数は全国で721人。そのうち、水泳や水遊びをしていた人の割合は約1割、釣りなどが3割近くを占めていて、そのほかの多くが「不慮の事故」で命を落としています。そうした“予期せず水に落ちたとき”に命を守るキーワード、それが「UITEMATE(ウイテマテ)」です。

2016年6月、富山県砺波市にある農業用のため池で、転落した7歳の男の子を助けようとした70代の夫婦2人がおぼれ、死亡する事故が起きました。

事故があった「ため池」 事故後に安全柵が設置された
事故当時、池の周りには柵がなく、ため池の近くで遊んでいた男の子が池に転落。周囲には助けを求める声が響いたといいます。

目撃した近所の人:「すぐ沈むわけでもないが、ばしゃばしゃともがいていたというか、そんな状態」

また、別の目撃者は…

目撃した近所の人:「麦わら帽子も浮いてきたり長靴が浮いてきたりしたところを見れば、本当に着の身着のままで入られた思います」

近隣の住民に話を聞くと、男の子を助けようと相次いで池に飛び込む夫婦と、その先でもがくようにして溺れていた男の子の切迫した状況がわかります。

この時、男の子の身体はどのような状態だったのでしょうか。この事故で、実際に救助にあたった消防の潜水救助隊員に話を聞きました。

●救助にあたった当時の潜水救助隊員・松井聡之さん:「人間の身体は立ったまま水に落ちると98%の部分が水没します。残りの2%が水面に出て浮くと言われています。その2%を手を上げたり、振ったりすると、ちょうどその手の部分が水面に出てしまうので、頭など身体がより水没してしまう。手を出して助けを求めていたはずだったのに、むしろ自分の身体を沈めてしまうことにつながってしまう、という危険性がある」


水に落ちたとき、水面に出すことができるのは、人間の身体のうち2%。これは両手の「手のひら」、もしくは「顔」ほどの面積にあたります。


さらに、この事故では、水に入った3人とも服を着たままの状態でした。このような時、
どうすれば助かる可能性が高くなるのでしょうか。

●救助にあたった潜水救助隊員(当時)・松井聡之さん:
「わたしたちが教えているのは『ウイテマテ』。落ちた場合に、自分の肌と服との間に空気の層ができやすいということで、むしろ脱がないほうが浮きやすいということが分かっています」