歩道の現場前にあるバス停が“死角”に…

深水信行弁護士:「自転車は歩行者に比べるとずいぶん速い速度で移動しているので、後方から来た場合には視界外から出てくるように見える」

駐車場の出入り口から10メートル以内にバス停をつくることは駐車場法で原則禁止され、やむを得ずつくる場合は交通整理などの対策をとる必要があります。

事故現場は近い方のバス停と19メートルの距離がありますが、深水弁護士は、人通りも多いことから規定以上の注意が必要ではないかといいます。

深水信行弁護士:「今回は10メートル以上離れた場所に出入り口があるので、この規定の適用はないが、それでもバス停から非常に近い位置にあるし、交通整理を行うとか、看板を設置するとか一旦停止の表示を設けるとか、特別な安全上の配慮が、せめて花見シーズンのように人の往来が特に激しくなる時期だけでもあったならばと思う」

永森さんの母親は娘の葬儀の際、私たちの取材にこのように話しました。

永森さんの母親:「あそこの駐車場の前は本当に危ないと思う。警備員もいないし。ましてや今のように花見のシーズンなんかはあそこにはやはり誰か置いておくべきだと思う」

駐車場を管轄する富山市管財課は、駐車場を出る車についてのみ、ランプで歩行者へ注意を促していましたが、今月6日、取材に対し…。

富山市管財課 高道伸治課長:「入庫の際はこれまでは特段やっていなかったということで、いわゆる運転手の交通法令の遵守に頼る部分が大きかったのかなと」

記者:「警備員を配置してはという声もあるが?」

高道伸治課長:「ほかの駐車場でもそういう対応をしているということは耳にしているので、
いかんせんどこまで対応できるかいま検討中なので、またそのへんはどういった対応できるか十分検討して対応していきたい」

富山県警の調べでは去年までの過去5年間、県内の歩道で起きた自転車と車の事故は118件に上り、その多くが、今回と同じく駐車場に出入りする際に起きていました。

深水信行弁護士:「一旦停止を義務付ける標識を掲げる、それからここが駐車場ですよと歩行者自転車にわかりやすくなるような看板をあげる、場合によっては黄色や赤での表示をすることなどが考えられる。一番大きいのは自動車運転者の過失ですが、環境、駐車場や歩行者用道路、そういった環境面のほうにも原因の一端があったと思う」

今月13日、永森さんが経営していた居酒屋の前には、たくさんの花が供えられていました。

永森さんの母親:「亡くなった日がちょうど(居酒屋店の)5周年のイベントをするときだった。はりきっていた矢先だったので本当に残念です。本当に(娘を)返してほしい。それしかない」

失われた1人の女性の尊い命。ドライバーの細心の注意と“危ない歩道”をなくす最大限の対策が必要です。