理不尽な理由で人を殺めようとする若者は後を絶ちません。令和に入る直前に起きたあの事件も…。富山市の奥田交番が男に襲撃され、警察官と警備員の2人が殺害された事件からまもなく5年です。当時21歳の男は奪った拳銃で2人を殺害、そのうちの1人、男によって射殺された警備員・中村信一さんの妻は「なぜ主人は死ななければならなかったのか」という疑問を抱き続けています。事件を裁く法廷で男は無言を貫いていましたが、中村さんの妻との面会に応じました。そこで男が語ったのは「申し訳ないけども悪いことをしたとは思えない…」という言葉でした。理不尽な殺人の背景にあったものは?

警備員・中村信一さんの妻:「桜がきれいですね。ことしは見にこれないと思ってたんですけど。主人は植物が好きな人だったんで。毎年この場所で桜を見てたんですよ」

先月30日、桜の名所として知られる富山市の松川べり。事件で命を落とした警備員・中村信一さんの妻は毎年この橋の上で夫と花見をしていました。

中村信一さんの妻:「主人は無口な人だったから、一緒に静かに桜を見てましたね。もう5年ですもんね。早い。やっぱり思い出しますよね」

2018年6月26日。

梶谷昌吾記者:「奥田交番付近で人が襲われたということで現在、警察が道路を封鎖しています」

近所の人:「乾いた音2回ほどパンパンと」「ピストルやちゃ」

事件は富山市の住宅街で起きました。午後2時6分ごろ、男が奥田交番に押し入り、交番に勤務する警察官を襲撃。首や腹など40か所をナイフで刺して殺害したうえ、拳銃のつり紐をオノで切断し、拳銃を奪いました。

そして男は奥田小学校の正門近くにいた警備員・中村信一さん68歳を射殺。さらに、小学校に侵入したあと、駆けつけた警察官に拳銃で撃たれ、現行犯逮捕されました。

事件を起こしたのは元自衛官で、当時21歳の島津慧大被告。強盗殺人など、6つの罪で起訴されました。警察官に撃たれて負傷したことで下半身不随になり、自力で歩くことができなくなりました。

事件から半年後、中村さんの妻と長女が私たちの取材に応じました。