富山市消防局に寄せられた誤通報。特に最近、スキー場から誤通報が急増しているそうです。消防が、誤通報によって出動の空振りや確認作業が増えてしまうと、緊急性の事案の対応に支障をきたしかねません。理由を探ると、“事故”に対応するスマホの機能が関わっていました。

冬のシーズンの最中、富山県では連日、スキー場がにぎわいを見せています。そのスキー場から、最近、誤った119番通報が相次いでいます。

電話の先から聞こえるのは、こんな音声でした。

(消防)「はい119番消防です、火事ですか?」
(通報)「激しい衝突事故に巻き込まれ、現在iPhoneに対する応答がありません」

最新のiPhoneやアップルウォッチなどに搭載された「衝突事故検出機能」による消防への自動通報です。

スマホが激しい衝撃を検知して、一定時間、反応がないと自動で119番通報する仕組みで、この機能による誤通報が各地の消防で相次いでいるのです。

管内に4つのスキー場がある富山市消防局には、今年1月からスマホなどからの自動通報が20件ありましたが、このうち11件がスキー場からの誤通報でした。

富山市消防局 通信指令課 高橋陽平主査:
「スキー場で遊んでおられて転倒したのか、詳しい状況まではわからないですが、通報者もかかった認識がないので、突然消防から電話がかかってきて通報していたことに気づいていたことが多い」

この機能はスマホやスマートウォッチを身に着けたまま転倒するだけでも作動してしまうことがあります。

最新のiPhoneを使っているスキー客は。

質問:「衝撃加わったら通報いく機能ってご存知でしたか?」
スキー客:「あんまり知らない。スキーでなるってこと考えたことなかった」
スキー客:「なにかあったときに(消防に)連絡がいくのは安心できるけど、消防の方に迷惑をかけてしまうのはちょっと…」
スキー客:「スキーをするときは(自動通報機能を)オフにして、スキー終わったらまたオンに戻して、日常的に使っていけたらいい」

消防では通報者から応答がない場合、折り返し連絡を入れて安否を確認しています。

電話に出ない場合も、事故に巻き込まれた可能性などを想定し、連絡がとれるまで電話をかけ直しています。

富山市消防局 通信指令課 高橋陽平主査:
「誤通報に対して情報が何もなく出動してしまうと、その時間救急隊・消防隊がほかの災害に対応できなくなってしまうのは一番消防としては困る。間違いのときはすぐに間違いということを伝えていただきたい」

誤通報が今後さらに増えれば業務に支障をきたす恐れがあります。

一方、実際の事故に備えて設定を切ることも現状では勧められず、消防は対応に困っています。
混乱をさけるにもまずは、自分の携帯がこの機能を搭載しているかどうか確認すること。万が一、誤通報したとわかった場合は、速やかに消防に誤通報だと伝えることが大切です。