「心理的安全性」に照準

マニュアルは「海外派遣前」「現地着任後」「帰国後」に分け、新卒3年目までの社員を派遣する場合、指導役の先輩社員の同行させる、通訳の支援を行うなど現地の業務だけでなく日常生活においてもサポート体制を充実させています。

労働法が専門の金沢大学、早津裕貴教授はマニュアルの内容について――

金沢大学 早津裕貴教授
「内容自体は非常にきめ細かくてですね。体裁もしっかりしてるかなというふうには思います。同行者の選定とかですね。最初の初回行く時とか、そういった時の配慮もなされているので。やっぱり形としてはご家族の方のご協力もあったということでしっかりとしたものを作ろうっていう意図は強く感じられます」

マニュアルの中で、上田さんが強く要望したのが心理的安全性の構築です。会社側が責任を持って相談窓口や滞在先のホテルを家族にも伝えるよう求めたと言います。

上田さん
「再三強くお願いしたのは初回の海外派遣について途中つらくなったら帰りたいと言ってもいいこと。初回海外派遣中の途中で帰国したことをもって人事評価に影響させないという。これを入れていただきました。これを入れることで少しでも言いやすい環境が整うのかなと思っております」

海外派遣者がSOSの声を上げやすい環境を提案したという上田さん。

実際の労働時間が把握しづらい現地での「隠れ残業」を防ごうと宿舎や移動中における業務を労働時間として扱うことも遺族弁護団からの要望で実現しました。

遺族弁護団 岩城穣弁護士
「(宿舎で)報告書作ったり、電話・メール対応を行わせる場合、それも労働時間として管理すると。これはかなり議論して入れてもらったものなんです。もう一つが、いわゆる移動時間ですね。資料確認、業務の打ち合わせ、連絡対応その他会社の指示に基づく対応を行った時間は労働時間として扱うことを決めました。ここはかなり先進的だと思っております」