赴任先のタイで過労自殺した男性の母親が、過労死を起こした企業と海外派遣者の命を守るためのマニュアルを完成させました。専門家は「きめ細かな内容」だと評価した一方、時間外労働の上限が過労死ラインの80時間を超える点については「慣れない環境でリスクが高い」と警鐘を鳴らしています。

上田直美さん
「共同記者会見という形で、企業と当事者家族が共同で策定したマニュアルを公表できることを、感慨深く、また一つの節目を迎えられたという思いでおります」
5月29日、大阪市で開かれた記者会見。
海外赴任先で息子が過労自殺した富山市の上田直美さんと、過労死を起こした日立造船、現在のカナデビアが共同で開催しました。
上田さんの息子、優貴さん(当時27)は2021年4月、初めての海外赴任先だったタイで過重労働の末に自殺。亡くなる直前1か月の時間外労働は149時間に上り、大阪南労働基準監督署は労災を認定しました。
上田さん
「どのような仕組みがあれば息子は命を落とさずに済んだのか。私たちはその問いを出発点として、お互いの考えを持ち寄りながら、協議を重ねてまいりました」
上田さんの強い要望で、カナデビアとは去年2月から海外派遣者の命を守るためのマニュアル作成へ協議を開始。上田さん同席のもと、遺族弁護団と会社側で先月までに計10回の協議を重ね、マニュアルが完成しました。
カナデビア 土肥太郎専務
「当社はグローバルに事業を展開しておりますが、海外派遣者の心身の健康と安全を確実に守る責務がある。このように深く認識しております。本マニュアルの社内での確実な周知徹底と、実効性ある運用を通して、再発防止に全力で取り組んでまいりたいと思っております」










