フォロワー数2.2万人。富山県内の名店からディープなお店まで、唯一無二の独特なレポートで人気を集めるグルメ系インスタグラマー。その正体、動画づくりの裏側に迫ります。

いま富山で話題のインスタグラマーがいます。

グルメ動画
「ハンバーグが到着。店員さんがナイフでハンバーグを切ってくれます。優しい接客で、好きになっちゃうところでした」

インスタグラマー・ミツキこと西原光貴さんです。

インスタグラムのフォロワー数は2.2万。これまで県内の飲食店を100店舗以上巡り、動画で発信してきました。

テンポのいいナレーションに、要所要所にクスっとくるワードセンス。飾りっ気のない素直な食レポが魅力です。最も再生された動画は、64.5万回。街の人に聞いてみました。

女性
「キリン飯店のやつとか。ちょっと入りづらいお店は、代わりに行ってくれている感がある」

男性
「コミカル、富山県の食べ物系インスタであんまりないようなやり方でしたから」

女性「近くのお店が出てきたら行ってみたいなと」

そんな彼、実はー

西原光貴さん
「いらっしゃいませ」

高岡市姫野にある居酒屋「食べ処ぼんぼん」の店長。自らも家族で飲食店を営んでいます。

食べ処ぼんぼん店長 西原光貴さん
「はい、どうぞ!ぼんぼんに来たらホルモンの鉄板焼きを召し上がってください!これはばあちゃんが丁寧にホルモンを洗って臭みを消すどころかいい匂いにまで仕上げちゃってるんで、ぜひおなか一杯食べてください、米も酒も合います。ばっちりです」

手作りの家庭的な料理やアットホームな雰囲気で、地元の人たちを中心に愛されています。

男性
「誰でも来やすい店だと思います。おいしいしね」

男性
「あったかい。ただいまーみたいな感じ」
「実家みたいなもんですよね」

そんな「ぼんぼん」はおよそ20年前に光貴さんの祖母・美智子さんが開業。おばあちゃん子だった光貴さんが去年、店を継ぎました。

祖母 美智子さん
「もう私もそろそろ辞めてもいいと思う頃に、この子が私のこの店を土台にして、自分でやりたいことを見つけたいと始めた」

食べ処ぼんぼん店長 西原光貴さん
「継ぐっていうのもいろんな形があるんで、僕はばあちゃんの思いを継ぎながら、自分の好きなことを伸ばして」

そこで始めたのが、SNSでの発信でした。

はじめは店のメニュー写真や営業案内を載せていましたが、なかなか見てもらえず…。

インスタグラマー ミツキさん
「よりたくさんの人に見てもらうにはどうしたらいいかなというところで、週1回でも楽しみになってくれるコンテンツがあったらいいなと思って、ふざけちゃおうかな」

週1回の定休日、光貴さんは店の「休業看板」を持ち、他の飲食店を巡る作戦に出ました。

すると、その変わった投稿に「いいね」の数が増え始めます。

西原光貴さん
「自分の広告と、行ったお店さんの広告2つになればいいなっていう」

そしてたどり着いたのがー

グルメ動画
「きょうは、全国配送、ちょ待てよ、みっちゃん餃子にやってまいりました」

自分の店ではなく、“ほかの店やその料理を動画にして発信する”というかたち。

インスタグラマー ミツキさん
「僕がずっと心がけているのは、面白くしたいなと思ってます。面白く、愛のある感じでいければなって。基本的に全部の飲食店にリスペクトがあったりして」

これまであげた動画の総再生回数は、あわせて1960万回です。

インスタグラマー ミツキさん
「飲食店のヤング世代代表というか。そのSNS広報部という感じで」

この日は、氷見市のお店へ。いまではお店の定休日以外にも週3日ほど、自身のランチを兼ねて撮影しています。

撮影を始めるとー

車から手を振る女性
「いつも見てまーす!」

インスタグラマー ミツキさん
「うわ!ありがとうございます!うれしい!気ぃつけて、運転」

まずは一脚を使い、外観でのオープニングを撮影。

インスタグラマー ミツキさん
「チューリップテレビさんと、多古爺にやってまいりました」「多古爺(たこや)って読めます?これ、『たこじい』ですよね、どう見ても」「こっちも撮っちゃっていいですか?」

なぜか取材クルーも撮影されます。

料理が届くまで、さくさくと店内を撮影。席につくと。

「あっ、ほらもうぴったりなんですよ、見てください」

完璧なタイミングで、ラーメンが到着。

「湯気が出てるあったかいうちにささっと」

しっかりいただきますをして。

「ズルズル」

食レポは一切なし。それがミツキ流。

橋本キャスター
「本当にしゃべらないんですね」
西原光貴さん
「はい、黙って食えって育てられたんで」

好きな祖母・美智子の教えを忠実に守ります。

最後は、感謝を込め、ごちそうさまでフィニッシュ。

西原光貴さん
「ごちそうさまでした!ありがとうございます」

多古爺の店員さん
「ますます発展すると思うからね、頑張ってほしいと思います」

当初は再生回数を増やすことが目的でしたが、いろんな店と出会い、今ではこんな思いが。

西原光貴さん
「(撮影したお店に)『来てくれてうれしい』とか言ってもらえたりとか、富山県のグルメの可能性自体を僕はすごく感じてて、縦も横もつながって、富山県の発信を一緒にしていけたらいいな」

実際に、SNSを見て店に来たという客も増え、相乗効果につながっています。

西原光貴さん
「お店のためにやってることがSNSのためになったり、SNSを頑張ってたからお店になにかいい影響がでてきたり。どっちもに水をあげるのが大事なんじゃないかな」「富山県全体が特に飲食っていうジャンルの中ですけど、誰かが楽しめるコンテンツをこれからもつくっていきたい」

【追記】
今回、取材中に西原さんが撮影した氷見市の「多古爺」さんの動画は、現在「食べ処ぼんぼん」光貴さんのインスタグラムにアップされています。チューリップテレビの取材クルーもいじられているようです。