和紙の原料「コウゾ」を万博会場に植樹

川原さんはアート制作のほかにも、知人を通じてプロジェクトチームから声がかかり、ステージ広場の植生も担当することになりました。

和紙職人 川原隆邦さん
「会場内のパビリオンの一角として、植生を少しかかわらせてもらっているので。コウゾの森のようなスペースをつくろうというプロジェクトで」

設計者 佐々木慧さん
「ここはイベント広場なので人々が集まる場所として、お祭りというか万博の会場の賑やかさに合うような場所として計画をしています」

2月、関係者ら約30人が集まり、和紙の原料となるコウゾの苗木の植樹会が開かれました。

和紙職人 川原隆邦さん
「葉っぱの形もちょっと特徴的なので、ここら辺全体、ちょっといい意味で少し違和感があって『あれって何の木だろうね』ってなったときに、『実はこれってコウゾ』『コウゾって何』『和紙の原料になる木だよ』。植物から伝えられる和紙の文化的なものを伝えることができるとは思うので」

川原さんは富山で自ら育てているものではなく、熊本県産のコウゾを選びました。

熊本のコウゾ農家 古川利治さん
「去年の6月だったかな、苗を取りに来てもらって、うちまで。考えたこともないくらいうれしかったですね」

その名は「清正楮」。戦国武将、加藤清正ゆかりのコウゾです。

和紙職人 川原隆邦さん
「加藤清正が熊本に紙すき職人と紙の産地を作った時代がありまして、その産地にずっと残っていたコウゾを使っていくと、文脈的にもストーリーの価値というのもまたここに付け加えることができると思った」

万博の地から、和紙文化を世界へ。川原さんは和紙の伝統や技術を大切にしながらも、時に形を変え、新たな価値を付け加えながらその魅力を発信していきたいと話しています。

和紙職人 川原隆邦さん
「ただ和紙を見て、ああだこうだ言うのではなくて、和紙ができていくまでであったり、和紙が日本的な文化でもあれば、未来につながる工芸品やアート制作だったりもするので、そういう発信につながる一つのきっかけになれたらいいかなと思います」