80年前、富山大空襲で父親を亡くした女性が19日、中学生を前に戦争の悲惨さを語りました。女性は「平和な生活に感謝し、思いやりを持って生きてほしい」と話しています。

10年前から戦争の語り部を行っている稲垣よし子さん(89)。入善西中学校の2年生約80人を前に富山大空襲の体験談を語りました。
これは戦争を風化させず後世に語り継ごうと県が企画したもので、稲垣さんは10歳の誕生日を迎えた翌日に富山大空襲を経験。

未明に空襲警報が鳴り、父親と妹と防空壕に隠れた後、街なかに降り注ぐ焼夷弾の熱さから逃れるため神通川へ避難したことなどを話しました。
富山大空襲を10歳で経験 稲垣よし子さん
「私と父と妹のすぐ近く、3人並んでいたら真ん中にバーンと(焼夷弾が着弾して)、私も妹も父も神通川に投げ飛ばされました」
稲垣さんは家族とはぐれてしまい、妹とはすぐに再会できましたが父親は3日後に神通川の川下で遺体で見つかったといいます。
戦時下で学びの機会も失われたという稲垣さんは今の平和な生活に感謝しながら、思いやりを持って生きてほしいと語りかけました。
生徒
「自分たちが今こうやって勉強できたり、楽しく食事できる平和の大切さをしっかり考えて、次の世代にしっかり伝えていきたい」
「これから先、どんどん(記憶)が薄れていく環境のなかで、私たちが伝えていかなければならないと思った」