神通川流域で発生した四大公害病の1つ、イタイイタイ病。被害地域の住民らでつくる被害者団体が8日、岐阜県の原因企業へ立ち入り調査を行いました。


この調査は、イタイイタイ病の被害者団体と原因企業である三井金属、現在の神岡鉱業が結んだ「公害防止協定」に基づいて毎年行われているもので、ほかの公害病では例のない取り組みです。


ことしで51回目となる調査には、神通川流域の住民や調査を支援する科学者ら60人が参加。去年、おととしは新型コロナ対策のため、参加人数を少なくするなど規模を縮小して行い、例年通りの規模での調査は3年ぶりです。


神通川流域で発生したイタイイタイ病は、上流にある神岡鉱業からカドミウムを含む汚染水が排出されたことが原因です。



神岡鉱業は現在も事業の中で、カドミウムなどの有害物質を発生させていて、その環境対策を住民らが年に1回の立ち入り調査で直接確認します。



調査を終えた住民らは、企業側との質疑応答で、飛騨市の新たな洪水ハザードマップに工場の一部が追加されたことを指摘。工場が浸水すればタンクや配管などから汚染水が流出する恐れがあることから、早急の対策を求めました。



神岡鉱業:
「千年に一度の想定最大規模レベルの降雨が予想される場合はその時点で早期に工場の操業停止や保安操業を決定いたします」

住民側の弁護士:
「汚染水をそもそも漏らさない方面の対策も重要かなと思いましたので、決して千年に一回といった言葉にとらわれるのではなくて、起こりうる災害であることを念頭に引き続き対策をお願いしたい」


このほか、排水中のカドミウム濃度が上昇傾向であることなどから、住民らは新たに協議の場が必要と指摘。神岡鉱業は応じることに賛同しました。



神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会 江添良作代表理事:
「我々が裁判という大きな戦いの中で勝ち取ったこの権利をしっかり守って、神通川は大事な富山県の真ん中を流れる清流でありますので、我々が組織をあげて持続可能な体性で今後も続けていきたい」