顔に難病を抱え自身の経験を基にした一人芝居を演じ「見た目問題」について考える機会をつくってきた南砺市の河除静香さん。「やりたいことをやれる世の中に」挑戦を続ける河除さんの思いを取材しました。

河除静香さん(演劇「華」より)
「昔からあきらめなくちゃならないことが多かったから。この、顔のせいで」
生まれつき「顔面動静脈奇形」という難病を抱える河除静香さん(49)。
11月富山県南砺市で上演された演劇「華」。河除さん自らの人生が題材です。
河除静香さん(演劇「華」より)
「ジロジロ見られることに慣れている…?そんなわけないじゃない…心が折れそうになっても、心がちぎれそうになっても、一生懸命笑っているんじゃない!」

「顔面動静脈奇形」は鼻の奥に毛細血管が絡まってできた塊ができる病気で、これまで40回以上手術を繰り返してきました。幼い頃から、ひどいいじめを受けてきたといいます。
河除静香さん(演劇「華」より)
「おえっ!気持ち悪ぃ!近寄んな!やっべぇ!バケモンじゃん!」
河除静香さん
「とにかく相手が憎くて、ほんとに1日1日乗り越えて耐えるしかない。この感情は誰にも言えなかった」
河除さんは10年前から自らを題材にした作品を演じ、「見た目問題」について考える機会を作ってきました。
そんな河除さんが今回新たに挑戦したのが、20歳の大学生との2人芝居です。

相手は四国学院大学演劇コースの今井真心人さん(20)。
きっかけは去年、大学で開かれた河除さんの講演会でした。
今井真心人さん
「すごくなんか言い方おかしいかもしれないが親近感みたいなのがあって。兄が重度の身体障害者で。兄が普段人からどういう目で見られてるかとか、どういうふうに言われるか。河除さんの背負ってきたものとか、言い過ぎかもしれないが、わかる気がして」
この出会いをきっかけに2人芝居が実現しました。

演目は河除さんが制作した6つの作品をもとに2人芝居に再構成したものです。
河除静香さん
「1人芝居だとどっちも自分なので。でも2人芝居だと、私の書いた脚本ではあるけれども、誰かと気持ちをぶつけ合っているみたいな。改めて(セリフを)外から言われるということにちょっと響くものがありますね」
迎えた、11月16日の本番当日。

河除静香さん
「いつも一人でメイクしとること多いから、ことしは仲間がいて楽しいなぁ」
河除静香さん(演劇「華」より)
「あたしだってこの顔に生まれて、今までいろんなことがあったよ。差別、いじめ、ジロジロ見られたりさ。でもその度に、負けてたまるか、いつか見てろって」
今井真心人さん(演劇「華」より)
「羨ましいです。自分のアザのことを、そんなふうに思うなんて、私には真似できない」
河除静香さん(演劇「華」より)
「そう言わずにさ、自分の思うように生きてみなよ」