用水路沿いの「曲がり角」に特に注意

特に注意が必要だとして緊急的に転落防止のロープを設置したのが交差点の「曲がり角」にある用水路。大通りに面していて交通量も非常に多いといいます。

富山県農村整備課 渡辺大輔 副主幹
「道が交差するところで人が行き来するところで柵が何もない。冬場雪が積もってしまいますと道路と水路の境目が明確ではなくなりますので、どこから水路か分からなくなってしまいますので気を付けていただきたい」

富山県によりますと、ことし4月から11月末までに用水路への転落死亡事故が13件発生、すでに昨年度の1年間を3件上回っています。このうち12件は65歳以上の高齢者です。

高齢者の転落事故はなぜ減らないのか。県から委託を受け安全対策に取り組む富山県立大学の星川圭介教授は事故があった現場などに監視カメラを設置し、高齢者の行動を分析しています。

富山県立大学 星川圭介 教授
「こちらの道路、太い道に通じる道路あって。左に曲がるが、急に近づくんですよね。本当に『角』のところに足を置くような形で曲がっていかれるということが確認できます。(違うカメラの映像を見ながら)10センチ、20センチのところで水路に近づいてしまう」

星川教授によりますと、曲がり角で高齢者は進行方向に気をとられ、足元を意識せずに歩く傾向が強いといいます。用水路沿いの「曲がり角」に特に注意が必要なのは12月だといいます。

富山県立大学 星川圭介 教授
「12月はまだ積雪も少なくて水路のそばをわりと歩いてしまう。必然的に曲がるときに角に近付くということはあると思います。また暗いということとか寒いということもあって不用意な動作になりがちなのかなということも考えられる」

星川教授によりますと、2019年度からの5年間で、高齢者の転落死亡事故が最も多いのは日没が早くなる12月。その半数以上が夜に発生しています。

富山県立大学 星川圭介 教授
「家族の啓発もあるが、まずは自分で気をつけていただく。人が多く歩くところ街灯が少ないところに水路が目立つような仕掛け、
地域の方の対策というのもあってもいい」

事故のリスクが高くなる12月。歩行者、とくに高齢者の行動特性を理解した、地域の対策が求められています。

星川教授によりますと、積雪が多くなる12月以降は除雪中の事故が多くなるといいます。あらかじめ道路と用水路の位置を確認しておくことや家族や住民に声をかけなるべく1人で除雪する機会を少なくすることが大切だと話しています。