■薬不足の背景に何が…

抗てんかん薬の供給不足を訴える本間医師が診療を担当する県リハビリテーション病院小児神経科。

この日、てんかんを患っている息子に代わり、その母親が病院を訪れました。


本間医師:
「デパケンが圧倒的に足りない。一人の人に長い日数を出すとほかの人が…。今回だけ半分にしてもらえんかね、日数…」

いつもなら70日分の薬が処方されますが、この日はその半分の35日分しか処方されませんでした。

遠方から通院する人も多く、その都度必要となる交通費や診察料などの経済的な負担が患者にのしかかります。

患者の母親:
「これが落ち着いていくるんでしょうか?」

本間医師:
「まだわからないんですけど…本当は今頃落ち着いているはずだったんですけど…製造許可でていない」

薬不足の背景にあるのはジェネリック医薬品メーカーで相次いだ不祥事です。おととし、福井県の小林化工で水虫などの皮膚病用の薬に睡眠導入剤が混入していたことが判明。200人以上が健康被害を訴え2人が死亡しました。

さらに富山市のジェネリック医薬品メーカー大手・日医工などほかのメーカーでも国の承認書に沿わない不適切な製造が発覚し出荷停止や自主回収が相次ぎ全国的に薬が不足しました。


ジェネリックの抗てんかん薬が不足したことで先発薬のデパケンRへの需要が増加。品薄状態が続いています。


記者:
「Qこれはどういったもの?」

ひばり薬局 林三千彦さん:
「普通だと注文するとその日か翌日まで来るんですけど、納品できませんよって。メーカー欠品ってなると全然いつ入ってくるかわからない。これが毎日何通も来る」


ひばり薬局には薬の卸業者から欠品や納品の遅れを知らせるファックスが1日に5通以上、届きます。

厚生労働省によりますと出荷停止などにより去年12月の時点で3000品目以上の薬が品薄に。今も薬不足は続いています。


ひばり薬局 林三千彦さん:
「もう先発品もジェネリックも関係なく入らないときは全然はいらない。次入るまでちょっと待ってくださいっていう自転車操業みたいな…」


富山市の薬剤師会の会長でもある林さんは薬不足の現状を次のように指摘します。

ひばり薬局・林三千彦さん:
「メーカーさんも新たにラインを作って増やすっていうのは、検査とか今まで異常に検査厳しいでしょうから、すごく検査に時間がかかっているんだと思う…でも何とか乗り切るしかないですもんね…」


全国で相次いだ医薬品メーカーの自主回収や出荷停止の影響で今も多くの薬が製造を再開できていません。

また業界団体などに取材したところ、出荷が再開された薬でも供給不足への不安から特定の病院や薬局が買い占めるケースもあり、それも薬不足に拍車をかけているとのことです。

てんかん患者をはじめ薬は病に苦しむ方にとってなくてはならないものです。一日でも早く薬不足が解消されるよう対策が求められます。