富山県西部をゆったりと流れる庄川。川とともに生きる人々の生活や文化を伝えてきた資料館が今月、静かに幕を閉じようとしています。「いいねとやま」松井カメラマンのリポートです。
富山県砺波市、旧庄川町にある庄川水資料館。

34年前の1990年(平成2年)に開館し、今月をもって閉館します。

庄川は山から切り出された木材を川に浮かべて運搬する「木材流送」が行われていて、資料館では、木材の集積地として歴史をはじめ山々から木材を運んだ「流送夫(りゅうそうふ)」など、この土地で暮らしてきた人々の庄川地域の生活文化を紹介してきました。



庄川水資料館 末永忠宏学芸員:「非常に荒々しいような仕事をなさっていた当時の人々の体を張った仕事ぶり。それから庄川は穏やかですけども、長い歴史の中では非常に流路を変えて様々な水害を及ぼした川なのですね。県内の人はもちろんのこと、県外の人にもこういう川があったのっていうことで、知らしめる非常に大切な施設だったというふうに思います」


庄川の周辺には、今も歴史的建造物や文化が残っています。木材の集積地だったことから、庄川挽物木地や井波彫刻といった伝統工芸が育まれました。



庄川の周辺地域では、戦前まで農業用の水をめぐり争いが絶えませんでしたが、1939年、庄川用水合口ダムが完成したのを契機に用水や幹線水路などが整備されようやく水の争いがなくなりました。



一方庄川の木材流送は1930年(昭和5年)、小牧ダムが完成したことや物流がトラック輸送へ大きく転換したことで終わりを迎えました。


庄川水資料館 末永忠宏学芸員:「この3月をもってこの建物は営業停止になってしまうのですけど、中の資料はですね、引っ越しをしまして水記念公園内のそちらで一部内容をリニューアルして紹介しております。いろいろな流送の資料などもダイナミックに展示しておりますので、そちらでまたお楽しみご確認いただければなというふうに思っております」

庄川と共にこの土地で暮らしてきた人々の歴史は、場所を変えてこれからも受け継がれていきます。











