踏み間違い事故、8割以上が高齢者

福島県警察本部によりますと、2019年から10月までに、ブレーキとアクセルの踏み間違えが原因で死者や重傷者が出た事故は26件ありました。そのうち8割以上の21件が「65歳以上の高齢ドライバー」でした。

痛ましい事故が全国で起きるたびに、高齢者の運転免許返納を求める声も聞かれます。県内では、去年11月の97歳の運転手による暴走事故のあと、75歳以上の免許の自主返納はわずかに増えましたが、更新時期で毎年増える3月は除いて、事故前と同じ程度にとどまっています。

なぜ、県内で返納は進まないのでしょうか。背景の1つには、返納後の生活に対する不安があります。県内は面積が広い割には公共交通機関が充実しているとはいえない「車社会」です。免許を返納すると、生活の足がなくなってしまうと心配する人も少なくありません。

免許を返納した高齢者に対し、県内ではほとんどの自治体で支援がありますが、その中でも取材した「みなとバス」は、地区のNPO法人が独自に運営しているもので、料金は1回300円、1か月1000円と手ごろです。運転免許を持っている人ても利用できることが特徴です。

普段から気軽に使ってもらうために、バスを利用したツアーやイベントを企画するだけでなく、地域の人たちとどのようにバスを運営していくか話し合っているということです。県によりますと、こうした地域ぐるみの支援は珍しいそうです。

バスを運営するNPOでは「免許を返納する前から身近な交通手段として利用してもらいたい」と話しています。返納前から利用していれば、人とのつながりもできて返納後も利用しやすくなります。こうした地域の目線に立った支援づくりが、求められています。