処理水海洋放出開始 それでも「請戸の魚が一番」

福島県沖の漁が試験操業から本格操業への光が見え始めた矢先、迎えたのが処理水をめぐる動きでした。8月24日、海に処理水の放出が始まりましたが、川瀬さんの強い思いは揺らいでいませんでした。

川瀬さん「本音を言えば、海洋放出がなければ一番いい話ですけど、私の気持ちも全然変わっていないので、福島県の常磐ものの魚をもっと広げていきたいという気持ちでいます。」

料理人である川瀬さんは、もう一つの顔を持っています。それは、中通りと会津で唯一の浪江町請戸漁港の魚市場での入札資格を持つ仲買人。お店で提供している魚のほとんどは、川瀬さんが自分で請戸漁港に足を運び、吟味して仕入れた常磐ものです。

川瀬さん「他のお店と違う魚の取り扱いというか差というか。それは(当時)すごく自分でもやっぱり自慢だった。」

震災前に仲買人になって今年で6年。週に2回ほど、往復およそ3時間の道のりを通い続けています。

川瀬さん「請戸の魚が一番だと思っているし、自分は。請戸の魚を使って商売がしていられるというのは一番、俺は幸せだなと思う。」

請戸漁港が復旧したのは、3年前。福島第一原発から最も近い漁港で、震災で被災した沿岸の漁港としては、復旧に最も時間がかかりました。港にはいま、ヒラメやマダイ、そしてシラスなど豊かな常磐の海の恵みが水揚げされています。

川瀬さん「海洋放出される前と全然変わらず、いつも通りの競りでした。新鮮な状態で上がってきていますので、それは申し分ないかなと思います。」