福島県内の沿岸では1日、底引き網漁が解禁となりました。処理水の海洋放出後初めての漁となり、漁業関係者にとって風評への不安が拭えない中での船出となりました。

1日午前、小名浜港には未明に出発した漁船が次々と戻ってきます。2か月間の禁漁を終えた1日、沿岸では処理水の海への放出後初めての底引き網漁を迎えました

たくさんの魚を積んで港に戻ってきたのは、漁師歴50年以上・志賀金三郎さんの「第三政丸」です。

沖合およそ30キロで獲れたメヒカリやスルメイカなどおよそ540キロを水揚げしました。

志賀金三郎さん「(解禁初日の漁は)普通だね。メヒカリを狙っていったが、こんなに小さくて参った」

初日から大漁とはいかなかったものの、久しぶりの漁となりました。

原発事故から2年後の2013年に漁を再開した志賀さん。当時は、漁を再開できた心境をこう話していました。

志賀さん(2013年)「(再開後初めて魚を獲って帰った気持ちは?)本当に今までとは丸っきり違いますね。充実感があります」

あれからちょうど10年。今回は、処理水の放出という不安を抱える中での船出となりました。

志賀金三郎さん)「(今年は)今までにない解禁。獲った魚にどのくらいの値が付くか、福島の魚がどれだけ売れるか、一番はそれ」

いわき市漁協によりますと、水揚げされたメヒカリは、身が小さく、量も少なかったこともあり、最高値は去年の同じ時期の半額ほどでした。セリでは、処理水放出による影響はみられなかったということです。

志賀さん「安心・安全を目指して、魚などを多く水揚げして、市民などに提供したい。そのために漁師は頑張る」

風評の影響はまだないものの、志賀さんは不安を抱えながら、今シーズンは来年6月末まで漁を続けます。