東京電力福島第一原発の処理水を海に放出する計画が大詰めを迎えていますが、漁業者や水産業者の懸念は残ったままです。こうした中、福島県いわき市の水産加工会社が、直売店を新たにオープンしました。この店から「魚のおいしさを届けたい」と話す社長の思いを聞きました。
食をそそる香ばしい香り。素材の旨味を存分に生かした「メヒカリの開き干し」は、お店の一押しの商品です。

水津邦治アナウンサー「そのままいただきます。香ばしくて中の脂がじんわりと甘味が出てきておいしい。こんなにおいしいメヒカリを食べたのは初めてです」
販売しているのは、いわき市小名浜の観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」に7月20日、新しくオープンした「小名浜あおいち」です。

水津アナ「いわき・ら・ら・ミュウに新しいお店がお目見えしました。小名浜あおいちです。カツオのたたきがずらりと並んでいます」
その日の朝に水揚げされた新鮮なカツオをわらで焼いた「たたき」。店主の上野台優さんも、自信を持ってお勧めします。
上野台豊商店・上野台優さん「小名浜できょうあがったカツオ。朝一番で工場に運んでいただいた」

水津アナ「いただきます!うーん、甘くて香ばしくて柔らかくて最高。おいしいです」

水産加工会社「上野台豊商店」を営んでいる上野台さん。普段扱っている魚のおいしさを直接お客さんに届けようと、直売店を開きました。
1960年の創業以来、「鮮魚の卸売り」が中心でしたが、震災後は加工品の販売にも力を入れ、地元の料理人と共同で商品を開発するなど、ブランド化にも取り組んできました。

上野台豊商店の加工品は、1つ1つが丁寧な手作業を経て作られます。
たとえば、メヒカリの開き干し。看板商品の1つですが、これも、従業員たちが小さなメヒカリを1匹ずつ、手で開きにしています。パリパリ感を残すため、頭はそのまま残すのがこだわりです。

上野台さん「特に頭の部分も脂がのっていますので、焼いてパリッとして楽しんでもらいたい」
上野台豊商店・沼田千何子工場長「おいしく召し上がっていただくために、手間を惜しまず作業をして、おいしく届けられたらと思って毎日作業をしています」