◆「おほしさまになったおまわりさんへ」 息子がつづった手紙

高橋さんの次男・瑛心くん 


震災後に生まれた高橋さんの次男・瑛心くんは、雄太と直接会ったことはないが、写真の雄太さんは憧れの存在でした。

瑛心くん(小学3年)
「写真の人は誰だろうと思った。お母さんから警察官だった人と聞いた。
(雄太さんは)かっこいい人で津波から逃げ遅れている人たちに「逃げて」って呼びかけた。ぼくだったら自分が逃げているはずなのに、助けるためにパトカーに乗って「早く逃げて下さい」と呼びかけてかっこいいなと思った」

写真を通じて雄太さんを知った瑛心くん。雄太さんへの思いを作文につづった。

サクラの前で作文を朗読する瑛心くん



おほしさまになったおまわりさん   作・高橋瑛心

「ぼくのおうちにはおまわりさんの写真があります。ニコニコ笑顔の写真です。このおまわりさんはとっても正義感の強いお兄ちゃんだったんだよとお母さんから聞きました。いまでもおそらのうえでおほしさまになってまだ見つかっていない人たちを探してくれていると思います。捜索活動が終わったら早く出てきてください。ぼくのお母さんも待っています。優しくて強い心を持ったおまわりさんのことをぼくは絶対に忘れません。僕もおまわりさんのようなたくさんの人の役にたてるようにお勉強と剣道を頑張るので見守っていてください。」

この日、高橋さん一家の姿は、双葉警察署にあった。

満開に咲くサクラ


高橋さん
「サクラがきれいだね、やっと来られたね。警察官の方々がサクラを見て仕事に出るわけだから、彼(雄太さん)の功績は大きいよね。でも寂しいよね、警察官でも亡くなってもいい命はないよね、自分の命は自分で守るのが前提だから」

「また来るから、また来るよ」
そう石碑に語りかけた高橋さん。雄太さんの思いを受け継いだサクラに手を合わせた。



「富岡町に来ると雄太の近くに来ている感じがする。
いたんだもんね11年前のあの日までは」
高橋さんは、微笑みを浮かべていた。まるで雄太さんとの再会を喜ぶように、二人の心はいまもつながり続けている。