特集です。

こちらの桜は震災の際住民の避難誘導にあたり津波で殉職した警察官を偲び震災の翌年、福島県双葉警察署に植樹された桜です。

先日、震災後初めてこの桜の元を訪れ、涙を流す女性の姿がありました。
この涙に込められた思いとは。

「やっと会えたね」 殉職した警察官と桜の物語です。

双葉警察署に咲く「洋雄の桜」 殉職した2人の警察官から名付けられた


福島県富岡町にある双葉警察署。管内は東日本大震災では津波と原発事故の被害を受け現在も復興の最前線を担っている。

警察署の一画に「その崇高な志 永遠に」と記された石碑と共に清らかに咲く1本のサクラがある。このサクラは、東日本大震災の津波で殉職した警察官を偲びその功績を語り継ぐために植樹されたものだ。

高橋さん宅に飾られた雄太さんの写真・制帽


「高校時代に道場でみんなで稽古をしていた。一緒にやっていた時のことを思い出す。」
こう話すのが会津若松市の高橋希さん。自宅には殉職した佐藤雄太さん(享年24歳)の写真と制帽が飾られている。

東日本大震災で殉職した佐藤雄太警部補
雄太さんが乗車していたパトカー 現在、富岡町アーカイブミュージアムに展示


当時、双葉署に勤務していた佐藤雄太さん(享年24歳)。
雄太さんは、福島県立福島西高校卒業後、憧れだった警察官になった。誰よりも人一倍、正義感の強い人だった。あの日、住民の誘導にあたっていた雄太さんは津波に遭い、11年経ったいまも行方不明のままだ。乗車していたパトカーは後日、富岡港で発見されたが車体は大きく潰れ津波の威力を物語っていた。


高校時代に剣道部で雄太さんと剣を交えた高橋さんは、いまも後輩だった雄太さんの姿を忘れることはない。


高橋さん(雄太さんの先輩)
「第一印象はかわいらしい、話してもバカにもなれるし、本当の弟のように思っていた。
自分のことは後回しにする子だったから、こんなに優しい子に警察が務まるのかと思った。結局、職務を全うして小さい頃からの夢を叶えたわけですから天職だったんだろうなって」