福島県須賀川市、須賀川インターチェンジから車でわずか1分。地元の人々に深く愛され続ける一軒の菓子店があります。大正8年に創業し、今年で107年目を迎える老舗「かめまん」です。
屋号の由来について、4代目代表の鈴木茂雄さんは「(初代)亀三じいちゃんが饅頭屋をやって、周りから“かめまん、かめまん”って言われるようになって、『かめまん』になりました」と語ります。現在、店内には常時100種類ほどの和洋菓子が並び、訪れる人々を楽しませています。
70年間愛され続ける、唯一無二の名物「玄米パン」
数ある商品の中でも、かめまんの看板を背負ってきたのが、およそ70年前の1955年から販売を続ける「玄米パン」です。
「簡単に言うと蒸しパンなんですけど、中華饅でもない、小麦饅頭でもない。本当に唯一無二の商品だと思ってます」と鈴木さんが語るこの商品は、どこか懐かしく、ほっとする味わいが魅力です。ある常連客は、お茶会で出すお菓子について尋ねた際、「一斉に皆さんが玄米パンっておっしゃった」というエピソードを話すほど、地元に根付いています。
蒸し上がりの湯気とともに広がる甘い香りと、つやつやと輝く見た目。その中には、北海道十勝産の小豆を使ったこだわりの餡が包まれています。「小豆の香りを残しながら、滑らかに食べれるような餡に仕上げてます」と鈴木さん。さらに、生地には焙煎した玄米粉を使用することで、香りを一層引き立たせています。
伝統の技法を守りながらも、進化は止まりません。物価高の状況にあっても、あえて少しサイズを大きくし、ボリュームアップさせて提供しています。毎朝9時の開店時には蒸したてが並び、その製造には鈴木さん自らが現場に立っています。「毎日やっぱり表情が違うんですよね。いかに品質を保てるかっていうことに気をつけて作ってます」と、そのこだわりを語ります。
職人の技と斬新な発想の原点
鈴木さんの並々ならぬ菓子作りへの情熱は、若き日の修行時代に培われました。東京都台東区の「竹隆庵岡埜」で大福などを学び、2軒目の「菓匠 白妙」では厳しい環境で上生菓子と向き合いました。そして3軒目の「栄屋」では、「お菓子屋さんの固定概念にとらわれない、すごく斬新な売り方」を目の当たりにします。
「地元の人たちに本当においしい和菓子を届けたい」。その一心で、固定概念にとらわれずに様々な技を身につけてきた鈴木さんは、今年2月から新たな挑戦を始めました。
伝統に新たな風を。限定商品と異色のコラボレーション
毎月第1日曜日を「玄米パンの日」とし、その日限定の特別な玄米パンを販売。これまでにはレアチーズ味や笹団子味などが登場し、今月5日には旬のずんだ味がお目見え。風味豊かで枝豆特有のつぶつぶ感が楽しめる一品です。

さらに、玄米パンの生地を使った新たな名物も誕生しています。唐揚げで有名な「割烹阿部」とタッグを組んだ「唐パン」です。甘辛くジューシーな唐揚げを玄米パンの生地で包んだユニークな商品で、須賀川の名店の味を一度に楽しめます。
コラボレーションは続き、会津若松市の中華飯店「重慶」の名物ソースカツを使用した「会津ソースカツパン」も開発。甘辛い濃厚ソースが染み込んだカツと生地が一体感のある味わいを生み出しています。
こうした挑戦の背景には、「福島県を盛り上げたい」という強い思いがあります。
「『なんかおもしろいことやってるな』っていうのが一番なんですよね。お客さんに知ってもらいたい、楽しんでもらいたい。それでお客さんが楽しんでもらえるっていうのはおもしろいなと思いますね」と鈴木さんは笑顔で話します。
創業時から変わらない「丁寧」と「感謝」の心
斬新な商品を生み出す一方で、創業当時から変わらない思いも大切にしています。「できるだけほんと丁寧っていうのはもう大事にしますね。丁寧に作る、丁寧に接客するっていうのはすごく心がけます」と語る鈴木さん。その言葉通り、一つひとつの作業に心が込められています。
かめまんでは、約60年前からケーキなどの洋菓子も扱っています。季節のケーキや、誕生日や記念日にぴったりのインパクト抜群のロールケーキなど、豊富なラインナップが揃います。「和菓子だけとか洋菓子だけっていうよりは、和菓子、洋菓子あったほうがお客さんの選択肢も結構増えるので」と、常にお客さんのニーズに応えてきました。
5代目へ、そして未来へ
伝統を受け継ぎ、挑戦を続ける鈴木さんには、今楽しみにしている未来があります。
「5代目として長男が修行に行ってます。滋賀県のすごくおもしろい洋菓子屋さんに勤めてるんですけど、そういったアイデアをいろいろ取り入れて、たくさんのお客さんに楽しんでもらえればなと思ってます」
感謝の気持ちを胸に、地域の期待に応え続けるかめまん。4代目と5代目のコラボレーション商品が店頭に並ぶ日も、そう遠くないかもしれません。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年7月2日放送回より)













