今年は卯年ですが、福島県伊達市に「ウサギ」がたくさんいるという神社があります。
そこには180年前から受け継がれている独自の信仰がありました。
【井上和樹アナウンサー】「拝殿に奉納されたこちらの小さな人形。よく見てみるとウサギの人形なんです」
たくさん積まれた小さなウサギの土人形。
奉納されているのは、伊達市の月宮神社です。
ウサギの土人形を奉納したのは、地元の養蚕農家だということです。
【月宮神社・吉田文芳宮司】「(ウサギの人形が)木箱の中にたくさん入っています。数えたことはないが1000体以上はあると思う」
宮司の吉田さんによりますと、かつて伊達市では養蚕が盛んで、神社の周辺には多くの養蚕農家が住んでいたと言います。
ウサギを祭っていることには諸説ありますが、蚕がたくさん産まれるように子どもをたくさん産むウサギを信仰していたという話もあるそうです。
そして春の養蚕が始まる5月の例祭で、養蚕農家は神社にあるウサギの人形を一体持ち帰ります。
その後、養蚕がうまくいったら、次の年の祭りでウサギの人形を2体納めます。
この「倍返し」の風習が拝殿に無数のウサギ人形がある理由です。
【吉田宮司】「蚕も小さい卵から数多く産まれるので『ものが増える』ということで(ウサギを)祭っていた。言わば心のよりどころだったと思う」
月宮神社では、1月15日まで拝殿の中の電気を点けて、訪れた人が中のウサギ人形を見られるようにしています。
【吉田宮司】「卯年にちなんで飛び跳ねる躍動感ということで、皆様の心も明るく躍動されるような年になってほしい」
福島には吾妻山の「雪ウサギ」もあり、昔から福島の人にとってウサギは特別な存在なのかもしれません。