「素朴な踊り、そのままを」

合同練習のおよそ2か月前。専次郎さんは、帰還困難区域にある自宅の解体に、立ち会いました。家は、専次郎さんが小学生の頃に建てられたと言います。

午前10時前、解体が始まりました。解体される家を眺めながら、専次郎さんは、家の思い出を語りました。

三瓶さん「昔は自分の家から木を切って出して持ってきて。いまの骨組みはほとんど、自分の家の木を使って。で、大工さんが泊りがけで1年半ぐらいいたのよ。2人だけだったから。親方と弟子1人。おらはその頃、小学1年、2年だった」

かつては、この家にも、多くの人が集まって、田植踊りが披露されました。

三瓶さん「家があるうちはやっぱり色々なことを考えていたけど、今は家がなくなったらば、夢を見るときはある。家で何かやってるような夢は見ますね」

変わりゆくふるさとに残された、伝統芸能。専次郎さんをはじめ、田植踊りの担い手たちは、ふるさとの家々を回る本来の姿が、復活することを願っています。

こうした中で迎える、全国の舞台。専次郎さんは、代々受け継がれてきたそのままの田植踊りを披露したいと考えています。

2024年に披露された田植踊り

三瓶さん「素朴な踊りそのままを表現していきたいなっていうふうに、今のところ考えています。踊り方、それから歌い方、そういうものを昔からの伝わった、そのままのものをそのままに表現すると。素朴に。色々変えたり、飾り付けを余計につけたり、そういうことはしない」

保存会と学生、そして田植踊りの歴史の中でも大きな節目となる全国の舞台が、まもなく訪れます。