「被告の供述は信用できない」

17日の判決公判で、下山洋司裁判長は危険運転致死罪の成立を認め、懲役12年の実刑判決(求刑は懲役16年)を言い渡した。判決の内容は、以下の通り。

「池田被告は、事故の直前の交差点で赤信号を無視して右折した後、タクシーや後続車両をかわして自車線に戻り、事故を起こした交差点まで随時車線変更しながら、蛇行することなく進行している。各交差点で赤信号を無視して進入し、その間、一切減速することなくむしろ一貫して加速している。このような走行状況から、赤信号を意に介することなく、これを無視して進行しようとしたと認められる」
「飲酒により極めて注意力が散漫な状態で運転を続けたことで、赤信号を見落としたという主張は、池田被告の酔いの程度がそこまで強いものであったとは考え難く、池田被告の供述は信用できない」

そして「池田被告は赤信号をことさらに無視して交差点に進入したと認められるため、危険運転致死傷罪は成立する」と認めた。

判決が言い渡された法廷・9月17日

そのうえで「飲酒して帰宅後、体にアルコールが残っていることを自覚しながら、大した理由もないのに運転を開始して事故を起こし、あえて無謀運転を継続した意思決定は厳しい非難に値する」
「結果は極めて重大で、被害者に全く落ち度はなく、大学受験当日の朝に理不尽にも一瞬で命を断たれた無念は察するに余りある。また、けがをした20代女性が事故当時、死亡した女性に対し、より適切な対応ができたのではないかと思い悩み、その苦しい心情を法廷で述べていて、このような結果を軽視することはできない」
「また、死亡した女性の遺族の精神的苦痛は筆舌に尽くし難く、池田被告は法廷で反省の言葉を述べるものの、不合理な弁解に終始していて、真摯にこの事故に向き合っているとは言えない」と断じた。