大口の融資先の資金繰りのため、不正に資金を流用していたなどとして、東北財務局は29日、いわき信用組合に対し、業務改善命令を出しました。

東北財務局によりますと、いわき信用組合の前会長ら旧経営陣は、実態のない企業を通じたう回融資を行ったほか、顧客に無断で口座を開設し、資金を不正に流用したなどとされています。東北財務局福島財務事務所は、こうした事実を認定し、経営の管理態勢や法令順守の態勢に重大な問題があったとして、いわき信用組合に対して、業務改善命令を出しました。

いわき信用組合

命令では、一連の不祥事について、経営責任を明確にすることや、6月30日までに、改善計画を提出することなどを求めています。

地域経済を支える金融機関で起こった不祥事に、地元の企業からは、戸惑いの声が聞かれています。

志賀塗装・志賀晶文社長「特に震災の後、1軒1軒企業先を回って大丈夫か?と。あるいはコロナの時もいち早く事業の継続についてご支援いただいているのも事実だったので、私どもの会社ばかりではなく周りの方々にもそういった銀行だったので、今回の件は寝耳に水というかびっくりしています」

取り引きのある会社社長「全部うみを出し切っていただいて、いわきのちゃんとした企業なのでその辺はちゃんとしていただいて、今後とも一緒に頑張っていきたいと思っている」

地域経済への影響も懸念される事態に、内堀知事は…。

内堀知事「今回の業務改善命令を重く受け止めていただきたい。預金者等に影響を及ぼすことのないよう、適切な業務運営に努めることが何よりも重要」

去年11月の会見で、いわき信用組合は、不正融資の総額が10億円を超えると公表していました。また、一連の不祥事を隠ぺいしていたことも明らかにしています。

この際、一連の不祥事の責任を取り、江尻次郎会長が辞任。その上で、第三者委員会を設置して、経緯を調べてきました。第三者委員会は、30日に報告書を公表する予定です。

命令を受け、いわき信用組合は、「重く受け止めている。組合員をはじめとする地域のみなさまにご心配かけていることを深くお詫び申し上げます」とコメントしています。