「すべて教える」産地復活への覚悟と挑戦

伝統を受け継ぎたいと志す若者が現れた一方、一歩外に出てみると、窯元の周辺は、いまだ帰還困難区域で、空き地が広がっています。

近藤さん「やっぱり一刻も早く周りが立ち入り禁止ではなくて、大堀地区全体が解除になってくれればいいなと思っています」

こうした環境の中でも一歩一歩前に進む「陶吉郎窯」。近藤さんは、自らの作品でも創作意欲を高めています。

近藤さん「例えばこの陶胎漆器をバージョンアップしたいなと思っています」

「陶胎(とうたい)漆器」とは、焼いた陶器の上に漆で文様を描く大堀相馬焼と会津漆器とのコラボ作品です。

陶胎漆器

近藤さん「蒔絵であったり螺鈿(らでん)であったり卵殻であったり、色々な技法があるので、そういった技法を使ったもので、また新たに提供したいなと思っています」

震災から14年。近藤さんが今抱いている思いは、「覚悟」と「挑戦」です。

近藤さん「作るだけ、焼くだけではなく、窯元として成り立つような色々なこと、私が今まで経験したことをすべて教えてあげると思っている」

一度途絶えた大堀相馬焼の産地復活のため、自らの創作をより高め、後継者育成に覚悟を示す近藤さんの挑戦は、まだまだ続きます。