帰還したのは1軒のみ 後継者育成へ

近藤さんがいま取り組んでいるのは、復興庁の採掘調査への協力です。

近藤さん「今回その土を実際放射能・線量がどのぐらいあるかとか、実際にそれを掘って使えるものなのかどうかという、復興庁の調査事業」

提供・近藤さん

大堀相馬焼に今後、地元産の粘土や鉱石が使えるかどうかを調べるため、放射性物質の検査などを行います。

近藤さん「この土3種類とも線量は全然問題ない。あとは焼いてみてどうか」

今後は、湯呑み茶碗などの作品を制作して仕上がりの品質などを確かめることにしています。そんな近藤さんが浪江に戻った大きな目的は、「生業の復活」と「産地の形成」です。

近藤さん「私がここに戻ってきたというのは、第一には300年以上続いたこの伝統を、またこれから先100年200年と続けるために大堀に戻ってきた訳ですよ」

しかし、ここに戻ってきた窯元は「陶吉郎窯」だけ。産地復活のためには「若者の育成が必要だ」と考えました。

近藤さん「後継者育成・窯元養成をして、ここで新しい窯元を作りたいと」

そこで、近藤さんが申し込んだのは、県のクリエーター育成インターンシップ事業。伝統工芸に関心が高く、応募のあった全国の30人ほどからオンライン面接などで6人に絞り込み、実技指導を行いました。

指導の様子(提供・近藤さん)

近藤さん「この子だったら自立できるのではないかという、そういう方2人を今回選ばせていただきました。これからはやっぱり失った産地をもう一度取り戻して、その第一歩を自分も一緒に歩んでいきたいという気持ち」

県内出身の伊藤さんは、大学で陶芸を学んでいます。

大学院生・伊藤礼香さん(郡山市出身)「やっぱり原発事故で色々転々としているから、浪江に戻ってきたのが1軒だけというので、やっぱり大堀でやらなければならないという近藤さんの思いにすごく共感してこちらで働きたいなと思いました」

一方、神奈川県出身の青木さんが大学で学んでいるのは「彫刻」です。

大学生・青木映真さん(神奈川県出身)「自分が細かいものをたくさん作って積み上げるという作品を今まで作ってきたので、そこに少しずつ落とし込めていければと考えています。新しい挑戦などをしていければなと思っています」