夫妻が惹かれた「町の景色と人の温かさ」

民泊にある4つの部屋の中には、海が一望できるところも。

常連客「もうほぼお家なので、本当に思わず『ただいま』って言っちゃう、言いたくなる場所です」

実は、吹野さん夫妻の出身は富岡町ではありません。2年半前に首都圏から移住してきたばかりです。

美登さん「(富岡の)景色と、住む人たちの温かさ。その人たちと一緒に生活をしていくことが、自分たちも何かお役に立てればなと思った」

「富岡町の景色と人の温かさ」。移住の決め手は、そこにありました。

吹野さん夫妻が初めて富岡町を訪れたのは、震災から8年後の2019年。幸江さんの知り合いが、富岡町のワインを作るブドウ栽培を行っていて、そのボランティアに参加したことがきっかけでした。

ブドウのほ場から初めて見た景色は、いまでも強く印象に残っているといいます。

美登さん「この太平洋を一望できるところがすごく素敵な、私たちの胸に突き刺さった」
幸江さん「海が真っ青で、すごく感動したのと、だけど津波の被害にあった場所がすごく痛々しく感じました」

富岡町が原発の近くにあることすら、知らなかったという吹野さん夫妻。初めて訪れた時は…。

幸江さん「(道路の)右側はバリケードされているから、ちょっと違和感ね」
美登さん「ちょっと物々しかったよね」
幸江さん「崩れかけた建物がたくさんあったんです。今はもう更地になって、何ができるのかなって」

富岡町は原発事故後、一時全町避難となり、いまも町の北部は帰還困難区域となっています。