福島県内で長く愛されている老舗にスポットを当てる「老舗物語」。今回は、150年以上続く郡山市の酒蔵です。ユニークな5代目社長が地元のコメと水にこだわって作る日本酒の魅力とは?

全国新酒鑑評会で9年連続金賞受賞数で1位に輝いた福島県が全国に誇る『日本酒』。その日本酒を明治時代から作り続ける酒蔵が郡山市西田町にあります。明治4年創業、『渡辺酒造本店』

「雪小町」をはじめ、現在は30種類以上の商品を展開し、全国新酒鑑評会での金賞受賞はこれまで10回に上ります。

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「明治4年に当時の明治政府が、お酒造りの規制緩和をしまして。そのときに(お酒を)作れるようになり、酒造りが始まりました。農家が作った、余ったお米を集めて、精米して、本当に小さなタンクで仕込んでいたと。」

5代目社長の渡辺康広さん。地元のコメと水を使った酒造りに強いこだわりを持っています。

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「戦前からの井戸を使っているんですよね。阿武隈鍾乳洞があるので、ミネラル分が豊富で非常に酵母の生育に好都合。」

こちらでは、およそ5500リットルの容器の中で20日間日本酒を発酵させています。ここに、渡辺さんが目指す日本酒のヒントがありました。

--番組スタッフ「うわ、すごいフルーティーな(香り)。この匂いの源泉は?」

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「コメなんです。コメと酵母と麹から出てくるんです、この香りが。フルーティーな香りを閉じ込めるように、なるべくストレスをかけないように酒造りをして、ビン詰めの商品まで持っていけるように工夫をしています。」

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「香りが良くて、フルーティーで、味わいがきれいで、スキっと辛口に仕上がって、年配の方に限らず若い方にもお洒落に飲んでいただける日本酒にしていきたいなと思って造っています。」

良い日本酒を作ることはもちろん、渡辺さんは自身の趣味や特技を生かした商品のPRにも力を入れています。

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「私は筆を持つので、自分で書いた文字をラベル化して商品化している雪小町の“醇爽”というお酒です。」

--番組スタッフ「渡辺社長ですか?」

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「ひょっとこ社長です~!」

「ひょっとこ社長」として県内外の宴会場などで踊りを披露し、「雪小町」だけではなく、「福島の日本酒」の魅力を広くPRしています。

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「コロナのときに、地元の観光地であるデコ屋敷に観光客がほとんど来なくなっちゃって。蔵元の法被を着て、お酒と地元の踊りを組み合わせた形でアピール活動をしているというところです。」

150年という時を越えて、愛され続ける酒蔵。地元のコメと地元の水、さらに地元への大きな愛を込めてこれからも日本酒を作り続けます。

--渡辺康広社長(渡辺酒造本店)「まずは地元の方々に、“これがおらげの酒なんだ~!おいしいんだよ!”っていうような感じで、自慢できるようなお酒になってほしいというのがあります。時代の変化とともに、嗜好に合ったものを作り続けていって、ちょっとずつ進化しながら、毎年新しい雪小町に進化していってほしいと思っています。」

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年2月6日放送回より)