地元で長く愛される老舗にスポットを当てる「老舗物語」。きょうはこの春、創業100周年を迎える郡山市の家具店を紹介します。

郡山市喜久田町にある「ラ・ビーダ」。看板には、”家具”と”家”の文字が。

広々とした店内には、木のぬくもりを感じる上質な家具が並びます。

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「ちょうど今年で100年を迎える家具店です。」

そう語るのは、三代目の渡部信一郎さん。

創業は今から100年前の1925年。小野町に、「渡部家具店」として、お店を構えました。初代の渡部儀三郎さんは指物師として、机やタンス、火鉢などを手作業で丁寧に作り上げていたといいます。

その後、二代目の渡部一男さんが大量生産・大量販売の家具屋として業務規模を拡大。郡山市へ店舗を移します。そして、今からおよそ35年前、三代目として、信一郎さんが家業を継ぎました。

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「ラ・ビーダとはスペイン語で、命、生活、人生の意味。人生=家具だという感じですかね。」

こう考える信一郎さんにとって大きな転機となったのが、デンマークの家具との出会いでした。

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「北欧の人達、特にデンマーク人は、家具=財産だし、自分のパートナーだと思っているんですね。」

デンマークの、シンプルで機能的なデザイン、そして、家具に対する考え方に感銘を受けた信一郎さんは、オリジナル家具の販売を始めます。

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「日本の最高の木で、日本の最高の職人が作る家具が真っ当な価格で、誰もが買えるような金額であったらいいねと思って作ったのが、このラ・ビーダの家具ですね。」

こちらの椅子は、曲線だけでつくられているのが特徴。人間の体に自然とフィットする設計になっています。さらに、隅木と呼ばれる木片をボルトで固定することで、強度と耐久性が向上。その結果、50年、100年と使い続けることができる“一生ものの椅子”に仕上がっているんです。

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「100年使えないと、本物ではないと私たちは思っている。100年使うにはやはり、デザインも大事だし、素材も大事だし。安心して使うにはきちんと直せる、修復できる。」

そんな100年使える家具の集大成として生まれたのが、須賀川市の職人さんが作り上げる、こちらのダイニングテーブル。装飾をかぎりなくそぎ落としたシンプルなデザインは、どんな空間にも自然と調和します。

そして特徴的なのが、脚の構造です。4本ではなく、2本。日本の伝統的な製法である木組みの技術を使って組み立てられているので、ガタつきを抑えた頑丈な仕上がりになっています。使用している木材は、山桜。山桜は、水や熱に強く、反りにくい特性があるので、テーブルにするのには最適だと信一郎さんは話します。まさに、家族の団らんを大切にしてほしいという思いが形になったテーブルです。

さらに、ラ・ビーダでは、長年の経験を活かして、こんなこともできるんです。素敵なテーブルですが、どこに秘密があるんでしょう?

--渡部信一郎さん(ラ・ビーダ 3代目)「これは一枚板で作られた座卓をダイニングテーブルにさせました。」