福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今日は300年以上続く会津美里町の窯元です。海外からも評価されている窯元は、当主それぞれの個性を生かしながら、伝統を受け継いでいます。
会津美里町、会津本郷焼で有名な町には多くの窯元が軒を連ねています。街中には案内板も設置されているほど。そう、ここは東北最古の『焼き物の里』なんです。
そんな会津美里町にも長い歴史を持つ窯元が。それがこちらの『宗像窯』です。享保4年、1719年に創業。300年以上もの歴史があります。
--番組スタッフ「今何代目になるんですか?」
--宗像利訓さん(宗像窯9代目)「父が8代目当主で、私が9代目になります。」
9代まで続いているという宗像窯。そんな歴史ある窯元には、ひときわ目を引く作品が。それがこちらの『ニシン鉢』。会津地方の郷土料理、『ニシンの山椒漬け』を作るための鉢なんです。
6代目のときには、1958年にベルギーで開催されたブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞し、宗像窯を代表する作品となり、また7代目のときには福島県文化功労賞を受賞するなど、宗像窯の発展に力を尽くしました。
そんな宗像窯にはニシン鉢の他にも、惚れ惚れするほど美しい作品が数多くあります。その作品たちの特徴は?
--宗像さん(9代目)「特徴としましては、やはり会津の土や、自然灰などの地元の原料を使いまして、昔から風土に根ざした作品作りをしています。特に釉薬自体に、独特の光沢がありまして非常にオリジナリティがあると思います。」
釉薬とは、作品に光沢やツヤを出すために使う薬のこと。宗像窯の展示場に置かれている作品は、どれも艶がありキラキラと輝いています。
--宗像さん(9代目)「伝統を受け継ぎながらも、それぞれがそれぞれの作風といいますか、そういった表現をしています。」
現8代目当主の代表作品がこちらの『利鉢』。作者の名前にちなんで命名されたこちらは、大きく力強い印象があります。どんな部屋にも馴染むような落ち着いた色の作品ですが、存在感がありますね。
そしてこちらが9代目の作品。鮮やかながら深みのある青色のこちらは、繊細で美しい印象です。この美しい色は、宗像窯伝統の緑釉を改良した『翠彩釉』を使用しています。冬に降り積もる雪の淡いグラデーションから春には芽吹きが始まり、やがて新緑に染まる会津の自然の情景を表現しています。
そんな現当主の8代目と9代目は日本にとどまらず、パリやニューヨークといった、海外でも個展を開いています。300年以上という歴史と伝統を受け継ぎつつ、個人の作風を追い続けている宗像窯の職人。今後も世界に会津本郷焼の魅力を伝えていってほしいですね。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年8月1日放送回より)