運転免許の返納と、貴重な移動手段の確保の狭間で揺れ動く人も多いのではないでしょうか。公共交通機関が乏しい地域に住む高齢者の移動手段を検討する会議が、11月28日に福島市で開かれました。
伊藤大貴記者「福島市立子山です。この地域では公共交通機関が充実しているとは言えず、いま改めて高齢者の移動手段が問われています」
高齢化が進む人口およそ1000人の福島市立子山地区。市の中心部から15キロほど離れたこの地域では、電車は通っておらず、路線バスの便数も限られたいわゆる「公共交通空白地域」です。

立子山地区の70代女性「一日で朝と晩しかバスが通らないから気を付けて(自分で)運転している」
運転免許の返納はなかなか難しいと話し、地域の高齢者の主な交通手段は自家用車だといいます。一方、高齢者の運転は、重大な事故につながることもあり、警察では免許の返納を受け付けています。
公共交通機関が限られる地域で、高齢者の移動手段は、どうあるべきか。そのあり方を検討する会議が福島市で開かれ、交通機関の関係者や有識者など、10人あまりが出席しました。

福島市交通政策課・宍戸郁夫課長「(交通機関の)担い手不足とサービス・利便性の向上のバランスをどう取るかが一番の課題。どうにかよりよい施策をしていきたい」
利用者が減り、交通サービスが縮小するなかで、高齢者の生活の足をどう確保するか。福島市では現在、75歳以上の高齢者を対象に、路線バスなどを無料で利用できるシルバーパスポートを交付していますが、すべての場所を網羅できているわけではありません。
会議では、運賃を割り引くタクシーチケットの導入や、バス停が遠い高齢者のために、バスを利用しやすい仕組みを求める意見がありました。会議は来年以降も開かれ、課題の解決に向け、検討を進めることにしています。