「岩倉具視の500円札」に代わって500円玉が登場したのが1982年のこと。同じ1982年に韓国で500ウォン硬貨が発行されたのをご存じでしょうか。この2種類の硬貨が大きさも材質も本当にそっくりだったのが不幸のはじまりでした。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

自動販売機でおかしな「500」硬貨

1982年に登場した500円硬貨と、韓国500ウォン硬貨。
このふたつのコインは本当にそっくりでした。主な材質は銅とニッケル(円は亜鉛を含む)、大きさは測ったように同じ(直径26.5mm)で、同じように大きく500の数字が書かれています。

左500ウォン、右500円、生まれはともに1982年、大きさはまるで同じ、周囲の点々模様までそっくりでした。

それが自動販売機などで見つかるようになったのが80年代の半ばを過ぎたあたりから。

ただし、困ったことなのは、500ウォンは今も昔も、500円の10〜8分の1程度(為替レートによる)の価値しかないことでした。

重さを揃えたら分からない

500ウォンを500円だと言ってつかませることができれば、400円以上が丸儲けになります。ここに犯罪者集団が目をつけました。

唯一の違いといえば重さでした。500ウォン玉が7.7g、500円玉が7,2g。その差0.5gと、ウォンの方がわずかに重いのです。そこで、犯罪者集団はドリルで500ウォン硬貨を削りました。すると日本の自販機は間違えて500ウォン硬貨を500円硬貨と認識するようになったのです。

この偽造は、見た目にはハッキリ分かります。しかし自販機はやすやすと騙されました。