当時の自販機は単純だった!

では、どうやって「偽造500ウォン」を「真500円」に替えたのでしょう。ジュースやタバコ(など)を買って、そのお釣り? いえ、もっと効率の良い方法がありました。

当時の自販機はいったん500円と認識すると、硬貨は上からストックされます。
その後そのまま返却レバーをひねると、返却硬貨は硬貨ストッカーの下から排出されるのです。

つまり上からニセ硬貨が入り、下から本物が出てくる。これを繰り返すだけで、コインは10倍の価値を持って出てくるということになるわけです。

(2)と(4)は自販機の内部です。すべての500円玉を吐き出すまでこの作業は続けられました。

価値の高すぎるコイン

この犯罪はもちろん社会問題になりました。

当時の500円玉は、世界を見渡しても断トツで価値の高いコインでした。いわば「偽造(偽装)する価値のある硬貨」だったのです。中国人犯罪グループがここに目をつけ、韓国ばかりか、ハンガリーやミャンマーのコインまで巧みに偽装して、自販機を通すようになりました。

硬貨は少しずつ摩耗して小さくなります。センサーが厳しすぎると本物もはねられてしまう。ここが困ったことでした。

小売店も困りましたが、一番困ったのが自販機業界です。ここにいたって、自販機業界は「大きさ」「重さ」だけでなく、表面の素材からもコインを判別するような新システムを導入するようになったのです。