脳油でクジラは潜水をしていた
茂越さんによると、400メートル以上潜水するマッコウクジラにとって、脳油は潜水の道具になるというのです。クジラは、水温を利用して脳油を固めたり溶かしたりすることで比重を変え、潜水や上昇の助けにしています。
また、脳油はマッコウクジラが出す音の衝撃波(呼吸音)の音響レンズとして使われている、という研究結果があるといいます。「エコロケーション」といって、暗い深海で自分の位置を測る行為です。音の跳ね返りで自分の位置やエサになる生き物がいる場所を測っていて、時にその比重を変えることによって、衝撃波をピンポイントに伝え、イカを失神させ捕食します。
茂越さんは、このクジラが自然死や突然死したことで、北上川に流れ着いたのではとしたうえで、今後、クジラの死骸を発見した場合もむやみに近づかないでほしいと話します。