■只野さんを突き動かしたものは?「校舎が・・・」
「あの時は行動しなければ校舎がなくなってしまうとがむしゃらだった」
中学生になると、大川小の校舎を保存するか解体するかの議論が巻き起こった。「つらい記憶がよみがえる」と校舎解体を望む住民も少なくなかったが、只野さんは率先して校舎の保存を訴え、賛同する卒業生らと「チーム大川」という団体を結成。
2015年、地元住民らが校舎の在り方を話し合う場で、仲間と一緒にマイクを握り素直な気持ちを伝えた。
「校舎がなくなれば子どもたちが生きていた記憶が薄れ、本当の意味で死んでしまう。津波の恐ろしさ、命の大切さを後世に伝えるためにも、校舎は絶対に残してほしい」

アンケートの結果、保存を望む意見が解体を望む意見を上回り、石巻市が保存を決定する際の決め手となった。
校舎は去年7月、震災遺構としての一般公開が始まっている。
合わせて、なるべく多くの人に大川小を知ってほしいと、校舎での語り部活動も行ってきた。
しかし、地元の大学に進学した頃から、取材を受ける自分の姿に違和感を感じるようになっていたという。