2020年10月22日の「メモ」
2020年10月22日:
仕事の仕方について指摘するメモが女性教諭の机に置かれている。「先生は自覚がない。仕事は一切お願いしません。後始末をするのはもうたくさんです。不愉快です」などと書かれた長文のメモは、女性教諭のこれまでの言動を書き連ね糾弾する内容だった。この翌日以降、女性教諭は自ら命を絶った。宮城県教育委員会は、調査をしたうえで、約3年3か月後の2024年2月、パワハラ行為を認定し当時59歳の男性教諭に対して停職3か月の懲戒処分を下した。

検証報告書では「男性教諭がメモを継続していたことに対し、校長や教頭は強く指導すべきだったのに実施していない」「コンプライアンス・チェックシートで問題を指摘する記述があったのに、聞き取り調査などが一切行われず校内コンプライアンス体制が機能していなかった」「校長と教頭は、女性教諭の対応を一部の教職員に任せており、対応に苦慮していたとは言え、十分ではなかった」そして、女性教諭は男性教諭に対し拒絶反応を示していたにも関わらず業務担当の変更など「引き離し」を実行しなかったことを校長、教頭の一番の問題だったと指摘している。そのうえで、学校側の対応について「重大な過失」があったと認定している。
検証報告書では、「パワハラを許さない意識を管理職の間で共有する」「コンプライアンス・チェックシートの適切な活用」「加害者・被害者が接触することのないようにする」「医師や弁護士など専門家とも情報共有して対応する」ことなどを再発防止策として掲げている。
2024年の男性教諭に対する停職3か月という懲戒処分に対しては「軽すぎる」との声が上がった。当時、懲戒処分にパワハラに関する規定がなく、停職処分に留まったという。その後、宮城県教委は規定を改正、パワハラに関して「免職処分」も可能とした。尚、懲戒処分が下された当時、男性教諭は「私自身二度とこのようなことがないよう決意しております」などとコメントしている。