「長い時間とあっという間が重なり合って」震災から立ち直る栗駒耕英地区
一方、栗駒山の中腹にある栗原市耕英地区も内陸地震の被害を大きく受けた。市街地に通じる道路が路面崩壊や大規模な土砂崩れで通行できなくなり、孤立状態となった。地震発生から3日後、栗原市から避難指示が出され、住民は、約1年間、耕英地区への自由な立ち入りや自宅に帰れない日々が続いた。
名物であるイワナの養殖や農業、観光などが大きな影響を受けた耕英地区の今を、元くりこま耕英震災復興の会・会長の大場浩徳さんは次のように語る。
元くりこま耕英震災復興の会 会長・大場浩徳さん:
「5月18日に栗駒山の山開きがあったり、隣に"納屋カフェ"ができたり。去年のお盆頃からイワナの釣り堀がまた再開し始めて、お客さんがちょこちょこ来てくれています。特に天気の良い土日には、結構来てもらっています」
農業を営む大場さんは、お盆の頃の収穫を目指してキャベツやトウモロコシを植えた他、イチゴの手入れも始めたという。まもなく出荷が始まるイチゴは、大粒で日持ちがよく味も良い品種だという。今年も例年通り3000パック以上、1トン以上の収穫を目指している。
元くりこま耕英震災復興の会 会長・大場浩徳さん:
「今月10日過ぎには実が赤くなって出荷が始まります。東京の市場に行って、ケーキに乗るのかな。首都圏の方に行きますね」
大場さんは震災から17年を振り返り、こう語る。
元くりこま耕英震災復興の会 会長・大場浩徳さん:
「地震の時に荒れてしまった畑で、今も手つかずの所があるんです。柳の木が畑を覆ってしまっていて、そこを見ると『あの地震がなかったら、今はどうなっていたのかな』と思う時もあります」
「長い時間と、あっという間が重なり合って今まで過ごしてきたような感じですね。あの時は、子どもを学校に通わせるために一生懸命働きました。今は、妻とネコ3匹との生活です。いろんな皆さんに応援してもらってやっとここまで17年やってこられたので、これからもまた、ものを育てる楽しみを味わいながら、頑張っていきたいと思います」