宮城県石巻市の北上川河口に群生するヨシで龍の神様=「龍神」を制作するプロジェクトが、24日までの2日間、行われました。龍神は、ヨシなどで作った舟でアメリカ大陸からハワイを目指す航海と、地域の海の安全を祈ります。
石巻市で行われた「北上川龍神プロジェクト」には、全国から集まったボランティアおよそ20人が参加しました。材料は、北上川河口に群生するイネ科の多年草「ヨシ」。かやぶき屋根の材料にも使われる丈夫なヨシで、長さおよそ5メートルの龍神を制作していきました。

参加者:
「龍の形に整えつつ締め上げて体を固定する作業をしている」
企画をしたのは長崎県の探検家・石川仁さん(57)。ヨシの保全活動に取り組む石巻市のNPO法人との縁で、この地域の守り神として崇められる龍神を作ることにしました。
探検家・石川仁さん:
「実際にやってみるとイメージ通りにいかないこと、曲げがなかなか難しかったがみんなの知恵を合わせていったら龍の形になったのでほっとしている」

石川さんは、世界中の先住民の文化を発信しようと、ヨシなどを束ねて造った「草束舟」で太平洋の横断などを続けています。2027年5月には、長さ15メートルの草束舟で、アメリカのサンフランシスコからハワイを目指すおよそ4000キロの航海を計画していて、石巻市で刈り取ったヨシも材料の一部として利用します。
探検家・石川仁さん:
「(世界中の)先住民と会うたびに自然とうまくつながっている人たちの文化が残っていることに感銘を受ける。自然とつながる美しい過去の知恵があることをシェアすることが旅の目的であり願い」

頭の部分を流木で仕上げられた龍神は、海を望むレストランの前に移動し、南アメリカの先住民が行う儀式で命を吹き込みました。海の安全を祈る龍神。1か月後には近くの洞窟に鎮座します。
探検家・石川仁さん:
「いまここに龍神が誕生しました。どうかこの命が細部まで全うできますようにお祈りください。海の神様とつながっていると感じている。鎮魂があってみなさんと土地を守ってもらえればと」