「テレビの中の話」が目の前で…
佐野さんが特殊詐欺に遭遇したのは初めてのこと。身近な人でも被害に遭った話は聞いたことがなく、まさか、自分がそのような場面に立ち会うとは思っていなかったといいます。
「あまり、ピンとこないというか、テレビの中の話で、自分にはあまり関係ないという感じでした。それが実際に目の前で起きたわけで、どうしようか、と」
では、なぜ、佐野さんは気づいたのか。その答えは、日頃からの接客スタイルにありました。こちらの店舗では開店後、午前から昼前後にかけて、来店客の軸は高齢者だといいます。新聞などを読みながらモーニングを楽しむ夫婦や友人とのおしゃべりを楽しむ女性など、みなさん思い思いのペースで過ごしているとのこと。また、いわゆる常連客が多いのも特徴だといいます。
「日ごろからいろんな方とお話し、コミュニケーションを取るようには心がけています。特に常連客のみなさんとは、たわいもない会話ができればいいかなと。そういう関係を大切にしたいと思っています」
16年を超えるキャリアの中で培われた客との丁寧なコミュニケーション。それが高齢男性を被害から守ることにつながりました。

「詐欺を未然に防げてよかったなと。何事もなくて、おじいちゃんが無事で、それが一番」と笑う佐野さんに12月25日、浜松西警察署の鈴木康之署長から感謝状が手渡されました。店内で行われた贈呈式では、居合わせた来店客から大きな拍手が佐野さんに贈られました。







