リニア工事が静岡県を流れる大井川の水資源に与える影響を議論する静岡県の専門部会で12月4日、いわゆる「田代ダム案」が議論されました。委員からは「実現性が増してきている」という声もあがりました。
JR東海が提案する「田代ダム案」は、大井川上流にある東京電力の発電用のダムの取水量を抑えて、リニア工事による県外流出分と相殺する案です。この案に関連しては11月30日、大井川の水利権を話し合う協議会が、水の少ない冬場でも毎秒0.43トン以上、河川流量を維持することで東京電力と合意しています。
4日に開かれた静岡県の専門部会でJR東海は、東京電力から提供された過去10年間の河川流量データを示し、渇水期でも対応できると説明。また、懸念されていた水利権についても問題がないことを伝えました。
<水資源専門部会 森下祐一部会長>
「そうなると、かなり実現性が増してきていると私は考えています」
委員らは、この案に一定の評価をした上で、次回以降、検討するためのより詳細なデータをJR東海に求めました。
一方で、平行線を辿ったのは「県境を越えて行うボーリング調査」に関する議論です。JR東海は、高速長尺先進ボーリングによって流出する水を計測して同じ量を静岡県側に戻すと説明しましたが、委員や県からは水の戻し方や不確実性への指摘が相次ぎました。
<静岡県 森貴志副知事>
「いま、高速長尺先進ボーリングを山梨側から静岡側に進めることは認められない」
その一方で…。
<島田市 染谷絹代市長>
「きょう出席した(首長は)大方、高速長尺先進ボーリングはやってみたほうがいいのではないかという意見だった」
12月3日、国の有識者会議のメンバーと意見交換を行なった流域市町のトップからは、このボーリング調査を支持する声が多くあがり、県との温度差が生まつつあります。