台風15号の接近に伴う国内最大級の竜巻の発生から9月19日で2週間です。静岡県牧之原市では多くの住宅が大きな被害を受けましたが、復旧に向けた課題の1つが国の支援をめぐる調査。支援を受けられないケースが相次ぐ可能性があるといいます。
<飯田美鶴さん(66)>
「屋根瓦が飛んでしまい、ここから雨が漏ってきた」
あれから2週間。2階の天井には大きな穴が開いたままの状態でした。牧之原市細江地区に住む飯田美鶴さんは、自宅にいるとき竜巻被害に巻き込まれました。
<飯田さん>
「とりあえず友達には生きてるよとメールしましたが、命の危険を感じましたね」
9月5日、牧之原市を襲った国内最大級の竜巻。飯田さんの家のリビングのガラスは割れ、2階の寝室もめちゃくちゃに。8日後に電気が復旧し、できる片づけは済ませたものの最も困っているのは屋根のダメージです。
<飯田さん>
「修理するのにいくらかかるのか、今は分からず何か補償があるのかいくら払われるのか不明で困ったなと。直さないわけにはいかず、引っ越すこともできず困っています」
家で暮らすためには絶対に必要な屋根ですが、国の生活再建支援を受けるにあたっては意外な壁が立ちはだかります。
<牧之原市税務課 鈴木宏洋さん>
「屋根はもちろん重要な部位なんですが、家全体で見ると割合としては少ないので、そこだけが被害を受けたとしても判定は低く出ることがある」
国の生活再建支援制度では、全壊世帯に最大300万円、半壊で最大250万円の支援金が支給されますが、一部損壊の場合は支援の対象外になります。現在進められている被害認定調査では、屋根の損壊だけでは建物の損傷割合が低いと判定され、「全壊」「半壊」の認定が受けにくくなる恐れがあるのです。
<鈴木さん>
「一刻も早くり災証明を欲しいという声を聞いているが、なかなかそこが進まないのがもどかしい気持ち」
国の被災者再建支援制度では、自然災害の際に全壊の世帯には最大300万円、半壊の世帯には最大250万円が支給されますが、一部損壊は対象外です。
今回、牧之原市の発表では竜巻による住宅被害は全壊が1棟、半壊が149棟、一部損壊が976棟です。これだけで判断すると9割近くが対象外に見えますが、今回は大雨を伴っていたため家の中に浸水していた場合、判定が変わる可能性があるということです。
ただ、それでも多くの人が支援を受けられない可能性が高く、制度や基準の見直しを求める声も上がっています。