気象庁の野村竜一長官は9月17日午後、気象庁で記者会見を行い、9月5日に発生した静岡県牧之原市の竜巻被害について言及しました。野村長官は、前日16日に現地を視察したことに触れ「被害の状況が広い範囲で起きており、被害の広さ、規模の大きさについて非常に感じております」と述べました。

気象庁は、被害が発生した翌日の9月6日から10日にかけて現地調査を実施し、今回の突風被害について「国内で観測されたものの中では最大クラスの竜巻」であると確認しました。日本版改良藤田スケールでJEF3に相当する被害だったことを公表しています。

「気象庁として、引き続き適時適切な情報発表や現地調査を行うことについての重要性を再認識した」と野村長官は話しました。

16日の視察を通して見えてきた課題について、野村長官は「竜巻注意情報、その前の雷注意報、さらに竜巻の確度を示すマップ情報といった段階的な情報提供がなかなか知られていない部分もある」と指摘しました。牧之原市の関係者との会話から「竜巻注意情報だけで対応しなければならないと考えている方もいらっしゃる」として「竜巻の発生確度を示すマップ情報の存在をもっと普及しなければいけない」と述べました。

視察の目的について、野村長官は「被害状況を見ること」と「現地調査での対応や課題を把握すること」の2点を挙げました。

今回の竜巻被害は、牧之原市のほか、吉田町、焼津市、伊東市など広範囲に及んでいて「一つの地方気象台で対応するには数が多く、名古屋や横浜からも支援が来た」と説明。広域での応援体制の整備や調査ツールの改善、管区気象台の役割の見直しなどを検討課題として挙げました。特に、被害地点が多かったことを踏まえ「広い範囲で起こった被害を逐一正確に調査するためのツールの高度化なども考えていかなければならない」と語りました。

会見では「台風や前線の影響を受けやすい季節が続く。気象庁や各地の気象台が発表する最新の防災気象情報に十分注意して、早めの対応、安全対策を取っていただきたい」と呼びかけました。