竜巻が発生し、1000棟以上の住宅に被害が出た静岡県牧之原市。現場では当時何が起きていたのか地元住民の声です。
<地元住民>
「窓ガラスがガタガタして、雨戸を閉めようとしたんだけど、(突風が)わぁーって来た」
Q. 下から近づいてくるような風?
「はい」
<地元住民>
「とにかく両側からまとまって真っ白い風と雨が、とにかくビューって水道の蛇口から出るような勢い」
<地元住民>
「最初風向きが明らかに南から家に向かってあてられて、ガラスが割れた瞬間にあらゆる方向から入る、抜ける、家具が飛ぶ、重い家具が動く」
下から近づいてくる風。それから両側からまとまった風という話がありましたが、山村さんもこの週末現地で取材をされてきたんですよね。どう分析されますか。
<防災・危機管理アドバイザー 山村武彦所長>
竜巻の中に入った場合はですね。風の動きという非常に複雑なんですね。ですから、住民の方のいろいろな感覚的に一人一人、みんな違った感覚を受けていると思いますけれども、いずれにしても猛烈な風が吹き荒れたんだろうなというふうに思いますね。
<LIVEしずおか 滝澤キャスター>
複雑な動きが入ったわけですね。被害エリアについて地図にまとめました。牧之原で竜巻の被害があったわけですが、特に細江地区で被害が大きかったわけです。細江地区の中でもさまざま広範囲で被害がありまして、地図にはないんですが、この北側の坂部地区などでも被害がありました。

竜巻は局地的な現象ですけれども、比較的広範囲に被害が及んでいるように見えますが、どう考えますか。
<山村所長>
私はこれは一つの竜巻ではなくて、複数の竜巻だったのではないかというふうに思いますけれども、特に私が現地を見て電柱の倒れ方が随分違うんですね、あちこちで。ですから、先ほどの榛原病院の横の方は赤い印がついていた地域は細江地区ですけれども、あの地域、ほとんどのは同じ方向に北西とか北側に向かってほとんど倒れているし、そちら側に向かって屋根が壊されているんですね。
ですけれども、その違う地域へ行くと、また違う方向に電柱は倒れ、あるいは建物も倒れている。傷ついていることが多いんですね。ですから、そういったところからも考えると、やはり複数の竜巻、あるいは突風が同時多発的に起きたのかなというふうに思いますね。時間差で起きたのかもしれませんけれども。
<滝澤キャスター>
細かく倒れ方がちょっとエリアごとに違うという状況に至るわけですね。複数の竜巻という話がありましたが、現場では竜巻を目撃したという住民からこんな話もありました。
<目撃した住民>
Q. 2回?
2回来ている感じだね。
Q. 風が2回違う方向から吹いている?
そう。1回目を見ると南東の方からどーんと。
Q. 撮った動画は?
南西から吹いた。
<滝澤キャスター>
1回目は南東、2回目は南西から吹いてきたという話で、複数の突風があったんじゃないかということでしたけども、同じ場所で2つの突風、こういうことがあり得るんですね。
<山村所長>
あり得ますね。場合によっては複数の突風というか竜巻が多少の時間差で襲ってくる場合もありますから、それを一つが過ぎた後、違う方向から来る竜巻というのも考えられますね。

<滝澤キャスター>
山村さんが撮影した写真です。複数の地点で写真を撮っているんですが、地点1、海に近いエリアということです。このエリアでは農業用ハウスですとか、電柱などが東側に向かって倒れています。一方で、地点2の写真ですね。この写真を見ますと、今度は西側、逆向きに倒れているわけです。このあたりは細江エリア比較的海からは距離があるエリアということなんですが、やはりこれを見ても複数の突風、竜巻だったんじゃないかということですよね。
<山村所長>
そうですね。離れた地域で違う方向であるということもあって、複数の竜巻が同時多発的に起きた、あるいはちょっと時間差で襲ったということだろうというふうに思いますね。ですから、広範囲に渡って被害が及んでいるということだと思います。
<滝澤キャスター>
この複数の竜巻というのは、どういう状況のときに起きやすいんでしょうか。
<山村所長>
非常に複雑な動きをしているとき多いんですね。竜巻っていうのは一つの線上にずっと真っすぐ行く場合もあるんですけれども、中にはジグザクに動いたりとか、あるいは少し蛇行したりとか。
竜巻というのは必ず真っすぐ行くかというとそうではなくて、時には地上に着いた露頭雲が少し地上から離れて、その次に行ってからまた落ちる。そしてそこの地上を破壊すると。間のところはほとんど被害がないところもたまにあるわけですね。そういうようなさまざまな複雑な動きが今回見られるように思いますね。
<滝澤キャスター>
予期せぬ動きをしてしまうということはですね。では過去に竜巻はどんな場所で起きているのでしょうか。地図にまとめています。

1961年以降、静岡県内で起きた竜巻の発生場所を赤い点で示しています。広い範囲に赤い点があるんですが、特に多いのがこの遠州灘に近いエリアの平野部ですね。海に近いエリアの平野部で竜巻が起こりやすいんじゃないかというのがわかると思います。この辺は要因をどう分析されますか。
<山村所長>
竜巻が起きやすい場所ってのは、日本中海岸線のどこでもあるんですけれども、中でもその風を遮りにくい、要するに地上の起伏が少ない場所。そして海岸に近い平野部。こういったところで起きやすいですね。ですから、静岡も起きやすい場所の一つだと思います。
<滝澤キャスター>
起こりやすい場所というのがありますので、事前の備えの参考にしていただければと思います。